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聖誕教会入り口の鍵めぐって3教派が対立

 【エルサレム=ENI・CJC】(ロス・ダン記)イエス・キリストの生地ベツレヘムで、ギリシャ正教会がローマ・カトリックとアルメニア教会の憤激を呼んでいる。
 ギリシャ正教会が、イエス生誕の地とされている所に立てられている聖誕教会入り口ドアの「錠と鍵」の管理を独占することにしたため。「我々は鍵の所有者であり、門番だと主張する」と、エルサレム総主教座のアリスタルコス大主教がENI通信に語った。
 すでにギリシャ正教会の修道士が錠を変え、その鍵をカトリック、アルメニア教会に渡すことを拒否したと、同氏は認めている。
 1852年に当時の支配者オスマン帝国が容認した「ステータス・クオ(現状維持)」として知られている規定では、各派が聖誕教会の中で礼拝のために使えるスペースが定められた。またギリシャ正教会の修道士が毎日教会入口のドアを開閉する責任を持つこととされている。同時に、カトリックとアルメニア教会側も鍵を持てることになっている。
 アリスタルコス大主教は、今回の決定は、ドアがギリシャ正教会の許可無しに、(カトリックの)フランシスコ会修道士かアルメニア教会修道士によって、開けられたためだ、と語った。
 ドアの鍵をめぐって起きた最近の衝突は、昨年のイスラエル・パレスチナ抗争の最中にパレスチナ武装勢力が会堂内に立てこもった時に起きた。
 銃撃されたパレスチナ人の遺体をフランシスコ会修道士が教会から運び出そうとしたが、鍵が見つからず、アルメニア教会側から借りた。しかしギリシャ正教会の聖職者は、死体搬出のためドアを開けることに、自分の許可がなかったとして反発した。
 死亡したパレスチナ人のためにイスラム教の祈りをフランシスコ会修道士が認めたが、場所がギリシャ正教会の管理下にあったことが、反発を買ったもの。
 3派とも聖誕教会内の権利には執着しており、「ステータス・クオ」が変更されれば、権利が少しでも失われることになるのを恐れている。
 ベツレヘムは1995年以来、パレスチナ自治区の中にある。パレスチナ当局は、聖誕教会各派の仲介に乗り出す意向。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2003/08/18