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教会は「ガリレオ・ガリレイを迫害しなかった」

 【CJC=東京】英インディペンデント紙によると、カトリック教会が地動説を誤りだとしてガリレオ・ガリレイを迫害したという思い込みは全く誤りだ、とバチカン(ローマ教皇庁)教理省の局長に就任したアンジェロ・アマト大司教が主張している。教理省は、ガリレオを迫害したとされる宗教裁判所の後身。
 最近バチカン公文書館で発見された書簡を引用して、アマト大司教は教会が大変上手にガリレオを扱っていたことが証明されたと語った。
 書簡は、1633年に宗教裁判所からフランチェスコ・バルベリーニ枢機卿に宛て送られた。ガリレオの健康状態が不安なので異端審判の結論を早く出すように、という当時の教皇の懸念を示したもの。
 アマト大司教はイタリアのカトリック週刊誌『ファミリア・クリスティアナ』に、偉大な天文学者への教会の態度が優しかったことが書簡で証明されたと述べた。「自説を放棄するように、とガリレオは投獄され、拷問にもかけられた」ということは、伝説以上の何ものでもなかった、と主張している。
 実際の所、ガリレオは審問の間、快適に過ごし、専用の召使もいた。その後もローマ滞在中は、フィレンツェ大使の客としてメディチ家の豪邸に住まっていたという。
 「1610年に、ガリレオが地動説を発表した時には、天文学者ヨハンネス・ケプラーとグレゴリオ暦の製作者、イエズス会士クラヴィウスから喝采を受けた。ローマにいる枢機卿の間でも高い評価を得た。皆、ガリレオの有名な望遠鏡で空を見たがった」という。
 アマト大司教の発言は、教会を近代科学の迫害者ではなく友人であり同労者と描こうとするバチカンの長期にわたる努力の一環と見られている。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2003/09/15