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聖地のキリスト者が「分離壁」の中止要求

 【エルサレム=RNS・CJC】聖地のキリスト教会指導者は、全世界の著名人や一般市民に、イスラエルに対し、「西岸地域」を完全隔離することになる「分離壁(防護壁)」の建設を止めるよう圧力を掛けてほしい、と訴えている。
 ローマ・カトリック教会、正教会、英国国教会(聖公会)、ルーテル派の指導者9人が、ジャーナリストや政府関係者、信徒に宛て出した共同書簡で、イスラエル人とパレスチナ人双方を「孤立感」に陥らす「重大な障害となる」と指摘している。
 もし壁が計画通りに、イエス生誕の地ベツレヘムまで延長されれば、それは「キリスト者共同体にとって破滅的なこと」と教会指導者は言う。「聖地への往来が阻止され、移動の自由が失われれば、キリスト者共同体は孤立してしまう」。3年前のパレスチナ蜂起以来、巡礼の数が激減したが、「さらに巡礼を思いとどまらせることになろう」と言う。
 教会指導者は、誰によるものであれ暴力への嫌悪を表明してはいるが、今回のユダヤ・アラブ抗争で進行している暴力の源としてはイスラエルだけを取り上げたことになる。
 イスラエル政府のダニエル・シーマン報道担当は、障壁を建設するイスラエルの権利を擁護、「壁ではなく、フェンスだ」としている。シーマン氏は、イスラエルが障壁建設を決めたのは、武装パレスチナ人がイスラエル側に侵入、テロ攻撃を行うからだ、として「(教会)指導者は、その批判をイスラエルの犠牲者に向かってではなく、パレスチナの殺人犯に向けるべきだ」と述べた。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2003/09/29