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米で大規模慈善団体への寄付低調

 【CJC=東京】米で大規模慈善団体への寄付が2002年は珍しく低調だった。問題を抱えた経済と将来への不安が寄付者の財布のヒモをしめさせたようだ。
 慈善活動の専門紙『クロニクル・オブ・フィランソロピー』が10月26日に公表した年度調査、第12回『フイランソロピー400』によると、大規模慈善団体400に対する寄付は前年の475億ドル(約5兆1300億円)に比べ469億ドル(約5兆652億円)と1・26%減少した。それまでの5年間、寄付は各年平均12%増加している。
  『フイランソロピー400』は、米国の最大非営利団体を民間からの寄付額でランク付けするもの。
 この10年で初めて、救世軍は14億ドル(約1512億円)を集めたが、首位の座を転落した。米赤十字社が前年の9位から一躍トップになった。『クロニクル・オブ・フィランソロピー』紙は、2001年9月11日の同時多発テロ事件がらみの募金が急増したと指摘している。赤十字社の「9・11募金」は11億ドル(約1188億円)を集め、同社は全部で17億4000万ドル(約1879億円)を集めた。
 以下、3位『ギフツ・イン・カインド・インターナショナル』、4位『アメリカ癌協会』、5位『フィデリティー・インベストメント慈善ギフト財団』、6位『ルサラン・サービス・イン・アメリカ』、7位『米YMCA』、8位『ネイチャー・コンサヴァンシー』、9位『南カリフォルニア大学』、10位『フィード・ザ・チルドレン』
 慈善団体の募金担当者は、2002年がレイオフ、株価急落、いくつかの団体での不祥事件、援助疲れ、などに見舞われ大変だったと言う。「今回の景気下降は予想外に厳しく、寄付者が将来に確信を持てず、寄付にも気乗り薄だった。寄付者が危機感を強め、慈善団体も同様に感じた」とステイシー・パーマー編集長がAP通信に語った。慈善団体が増え、寄付集めの競争が激化したことも収入減少につながった、と言う。
 難局に直面して、慈善団体の中には募金方法を変えつつある。スタッフを増強したり、寄付者を集めるためのイベントを主催したり、がそれ。
 トップ400慈善団体への寄付は、全慈善団体に与えられた2410億ドル(約26兆280億円)の5分の1近くを占めている。寄付の約9割は個人によるもので、残りが財団や企業によるもの。政府の助成金は考慮していない。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2003/11/03