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米聖公会で公然同性愛者の主教が着座

 【CJC=東京】米聖公会(信徒約230万人)は11月2日、同性愛者であることを自ら認めている聖職者ジーン・ロビンソン氏(56)の主教着座式をニューハンプシャー州ダーラムのニューハンプシャー大学運動場で行なった。主要宗派で初めてとされる。世界聖公会共同体に属する各国聖公会の中にある強い反対を押し切ってのものだけに、保守派の間に教会分裂への動きが出ている。
 同派の霊的最高指導者であるカンタベリー大主教ローワン・ウイリアムズ氏は3日、聖公会の分裂につながるとして「深い遺憾の意」を表明した。
 2時間にわたった式典には約4000人が出席した。着座の直前に、伝統に則りフランク・グリスワルド総裁主教が「誰か反対は」と言うと3人が申し出た。AP通信によると、ニューヨーク州オールバニーのデイビッド・ベナ補佐主教が米国とカナダの反対派主教36人を代弁して、ロビンソン氏の「ライフスタイルは聖書と聖公会の教えに不適合である」と声明を読み上げた。ピッツバーグ教区のアール・フォックス司祭も反対した。ニューハンプシャー教区のメレディス・ハーウッドさんも、着座を「卑劣な行為」と言い、「このまま行われれば、聖公会という組織は引き裂かれる」と警告した。
 グリスワルド総裁主教は反対があることは認める、と語ったものの着座式を進行した。
 会場周辺では警察当局が警戒態勢を敷き、賛成、反対双方のデモ隊は近づけなかった。反対派は福音派の教会を借りて「代替礼拝」を行なった。
 式後、ロビンソン新主教は、自分のために教会を去る人がいても、いつでも復帰を歓迎すると語った。
 今回の問題を契機に離脱の動きを見せている米アングリカン協議会は声明を発表、「異端が聖なるものとされ、冒とくが祝福と定義されなおした」としてニューハンプシャー教区の指導者と聖公会の「衝撃的な」傲慢さを非難した。
 ロビンソン氏は子ども2人がいる。離婚歴があり、男性の「パートナー」と13年間同居している。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2003/11/10