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ポーランドの教会、反ユダヤ主義本の撤去求められる

 【CJC=東京】ポーランドの知識層有力者12月3日ワルシャワで、反ユダヤ主義の文書を扱っているとしてローマ・カトリック教会書店を非難、同国教会指導者であるヨーゼフ・グレンプ枢機卿にそれらの書物の撤去を要求する公開書簡を発表した。書簡は主要紙に掲載された。
 声明に署名した人は17人。ユダヤ人大虐殺の生き残りであるヴワディスワフ・バルトシェフスキ前外相、民主化後、最初の首相を務めたタデウス・マゾヴィエツキ氏、カトリック週刊紙編集長で、教皇ヨハネ・パウロ二世の友人アデム・ボニエツキ神父らも名を連ねている。
 書簡は、ワルシャワ唯一のユダヤ教会堂から道路一つだけ隔てた所にある諸聖人教会で反ユダヤ出版物を取り扱うことは、教会が反ユダヤ主義を容認するものだ、として「我々は教会境内で憎悪宣伝が受け入れられるとは理解しない」として、教会が問題の出版物を即時排除するよう要請している。
 教会側からの反応はすぐには示されていない。しかし教会のジツラフ・クロル司祭は「本が反ユダヤ的なら、著者や編集者を訴えるべきだと思う」と国営PAP通信に語った。
 ワルシャワ在住のユダヤ人団体はすでに検察当局に告訴しており、発行者と書店主の尋問は終わっているが、利益目的のもので、ユダヤ人憎悪を広める意図はなかったとして、捜査の内容は明らかにしてはいない。
 第二次世界大戦とナチの侵略以前、ポーランドには人口の1割、約350万人のユダヤ人社会が形成されていたが、その大部分がホロコースト(大虐殺)で抹殺された。現在ポーランドに居住するユダヤ人は約1万5000人から2万人といわれる。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2003/12/09