教界ニュース

 

イラクで死者出たポーランド、教会指導者も複雑な反応

 【ワルシャワ=ENI・CJC】イラクに派遣したポーランド軍に死者が出たが、教会指導者は派遣決定を擁護している。
 ヒエロニム・クプチク少佐の戦死に際し、カトリック教会ルブリン教区のヨーゼフ・ズチンスキ大司教は「常に平和的な解決を求めるべきだという宣言は素晴らしく聞こえる。しかしテロリスト、狂信的な政治家や独裁者相手にどうするのかという問題は残る」、と教区民に述べた。
 少佐の死はイラク市民との「団結の徴」だとした上で、同大司教は、教皇ヨハネ・パウロ二世の、紛争の平和的な解決呼び掛けに疑問を提示した。「私は人がいかなる状況にあっても平和主義者であり、そして常に穏やかな解決を求めるべきだという提案に同意できない。教皇が団結と兄弟愛を地球規模に及ぼすことについて語る時、民主主義の基盤を守るためにも団結が必要なことを覚るべきなのだ」、と大司教は指摘する。
 一方ワルシャワのヴィシンスキー枢機卿名称大学の政治学教授ピオトル・マズキエヴィッツ神父はポーランドの介入を疑問として「人道主義的な介入ではなく、予防戦争をしているのだ。ポーランド兵の生命と健康を危険にさらしてもよいのか。米軍であれポーランド軍であれイラクにいるべきではないというのが私の考えだ」と言う。
 この9月、ポーランド軍2350人がイラクの「政情安定地域」の一つに展開した。
 ただこの派兵には反対が多く、8月に行われた世論調査センターの調査では6割が反対で、イラク市民と協力してやって行けると予想した人は4分の1しかいなかった。
 カトリック教会のスラウォイ・グロッツ軍隊司教は「多くの人がこの戦争は必要か、と問うているが、必要な戦争というものはないのだ。我々は戦争を拡散させるためにではなく、長続きさせないように、そして終戦を確実なものとするためにイラクにいるのだ」と言う。
 カトリック以外の少数派教会は、戦死者の家族に哀悼の意を表明したものの、それ以上の声明は出さなかった、と改革派教会のレフ・トランダ牧師は述べている。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2003/12/09