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物々しい雰囲気もただよう中でクリスマス

 【CJC=東京】2003年12月24日、世界は未確認のテロ情報が流れるなど、物々しい雰囲気もただよう中でクリスマスを祝った。
 ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ベツレヘムはイエス・キリスト生誕の地。聖誕教会前の「まぐさ桶」広場には1000人以上が詰め掛け、教会を見つめ、聞こえて来る賛美の声に耳を傾けていたが、かつてはすし詰めだった広場も淋しさを隠せなかった。
 敷地内の聖カテリナ教会では24日深夜から25日未明にかけて、恒例の深夜ミサが行われた。2001年12月から西岸の自治区ラマラで軟禁状態にあるアラファト・パレスチナ自治政府議長はイスラム教徒だが、ミサ出席をかねて希望していた。しかし今回もイスラエル側の反対で出席できなかった。
 ベツレヘムには観光客が戻り始めている。市当局によると、23日までの12月の観光客は約5500人。昨年同月の約1300人から大幅に増加したが、イスラエルとの衝突が激化した2000年秋以前の状況とは程遠い。1999年12月は5万2000人だったのだ。
 クリスマスを目前にした23日、カトリック教会の聖地に於ける最高位聖職者であるミケル・サバ総司教は、恒例のクリスマス・メッセージでイスラエルとパレスチナ間の平和を生み出すよう呼び掛けた。エルサレムのルーテル教会ムニブ監督も同趣旨のメッセージを発表した。
 フセイン政権崩壊を受け、初めて「占領下」でクリスマスイブを迎えたイラク。
 24日、各地の教会では、聖夜のミサが行われた。首都バグダッドでは、クリスマスにあわせて武装勢力が攻撃を計画している恐れがある、と厳重な警戒態勢が敷かれた。治安の悪化で日没後は出歩くことが危険なため、ミサは例年の深夜ではなく夕方から、警察官が警備するなかで行われた。参列する市民も例年よりずっと少なかった。
 イラクでは大多数がイスラム教徒、キリスト者の比率は人口の3%弱の約70万。フセイン政権崩壊後、イスラム化傾向が強まり、キリスト者が迫害を受けるケースも例外ではない。
 ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は25日未明、バチカンのサンピエトロ聖堂で行われた恒例のクリスマスのミサで、約1万人の信者を前に、ベツレヘムのまぐさ桶で2000年前に神は人となり、全人類の価値を示した、と語った。83歳と高齢の教皇は疲れた様子だったが、それでも力強く、「平和のみ子はベツレヘムの粗末で冷たい洞穴で生まれた」と述べ、「平和への困難な道のりに対する深い落胆から我々を救いたまえ」とパレスチナをはじめ、中東地域での和平達成を願った。ミサは48国78のテレビ局で放送された。
 教皇は25日正午、サンピエトロ広場で、全世界に向けたクリスマス恒例のメッセージ(ウルビ・エト・オルビ)を読み上げ「世界中を荒廃させている戦争や武力紛争、弱者を傷つけるテロリズムと暴力から我々を救いたまえ」と訴えた。教皇のメッセージは50国82のテレビ局を通じ伝えられた。
 今年、大規模なテロ被害に見舞われたトルコとインドネシアでは、厳戒態勢下のクリスマスとなった。イランでも、英国やスイス、トルコの大使館前にバリケードが築かれた。パキスタンでは、ミサの行われる主要教会4か所に警官が配備された。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/01/06