教界ニュース

 

讃美歌プレヤー、会衆喜びオルガニストは不安

 【ロンドン=ENI・CJC】教会にもデジタルの波は押し寄せる。塔上から鳴り響く鐘はすでに人の手を離れているが、讃美歌をデジタル化した『デジタル・ヒムナル』が英国では結構な売れ行き。このまま行くと、ひょっとするとオルガニストの多くが将来は失業?といったことにもなりかねない。
 英国ではクリスマス・シーズンを過ぎた1月が、コンピュータ化された教会音楽『デジタル・ヒムナル』を売り込むチャンス。「クリスマスとイースターの後には問い合わせが多い。オルガニストが見つからないからだ」、とロンドン南部クロイドンに店を持つマーティン・フェルプス氏は言う。
 『デジタル・ヒムナル』は重さ1・8キロ、ノートパソコンの大きさ。オルガンからピッコロまで広範囲の音が出せ、2300以上の讃美歌2300曲以上が収録されている。
 英国国教会はオルガニストの「重大な不足」に直面している、と王立教会音楽学校のヘレン・フォスター氏。「オルガンを弾き、聖歌隊や礼拝バンドも指導出来るだけの時間と技量のある人を見付けるのは難しい」と言う。
 フェルプス氏は「私は『デジタル・ヒムナル』をオルガニストに代わるものとは思わないが、素晴らしい道具ではある」と言う。礼拝前に、最高10曲の讃美歌が順序を決めて指定しておける。オルガニストが礼拝でしばしば直面する問題にも対応出来る。演奏の速度を速めたり落としたり、もう1節を付け加えるようなことも出来る。音程やテンポを変えろ、という注文にも不平は言わないし、「
アーメン」を付けて演奏することも、ご希望なら可能だ。
 英国南東部エセックスで4カ所の教会を担当しているクリス・ビショップ司祭は、毎日曜日代わる代わるどこかの教会で『デジタル・ヒムナル』を使うようにしている。「私は一度も不平を聞かないし、オルガニストがどこにいるのか、と訪問者が探していたこともある。と言ってオルガニストがいるのとは比較にならないが、音楽なしよりは良い」と言う。
 『デジタル・ヒムナル』はキリスト教各派で使われる讃美歌集に対応している。『デジタル・ヒムナル』は、フェルプス氏が英国向けに2300曲を録音して発表してから、売れ出した。価格は1699ポンド(約32万円)。小規模教会のプロでないオルガニストへの年間謝礼を考慮して値決めしたと言う。大規模教会のプロのオルガニストへの謝礼はその3倍と見られている。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/01/19