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政治哲学者ノルベルト・ボッビオ氏死去

 【CJC=東京】イタリアの政治哲学者、終身上院議員ノルベルト・ボッビオ氏が1月9日、呼吸器疾患のため入院先の病院で死去した。94歳。
 カトリック系ZENIT通信は、不可知論を掲げながら、キリスト教文化を守る権威的な声と呼ばれるほどに保守的な倫理観で知られるボッビオ氏の死去に際し、バチカン放送とバチカン(ローマ教皇庁)機関紙『オッセルバトレ・ロマノ』が「20世紀で、聖職者以外では最も顕著な存在の1人」と評価したことを伝えた。
 妊娠中絶問題で、「個人は1人:個人である。妊娠中絶のケースでは女性の身体に“別の1人”が存在する。自殺は自分自身の生命を処分する。妊娠中絶では、“別の1人”の生命が処分されることになる」と言うボッビオ氏の主張は世俗社会を驚かすのではないか、との質問に「あなたは殺してはならない」ということを絶対命令として全面的に有効だと考えるなら、驚くには当たらない」と述べていた。
 ボッビオ氏には 『グラムシ思想の再検討』『右と左 政治的区別の理由と意味』などの著作がある。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/01/27