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カナダ最高裁がカトリック教会の責任問題で判断保留

 【CJC=東京】カナダ最高裁判所は1月14日、司祭の性的虐待でローマ・カトリック教会訴追の判断を保留した。
 被害者は、司祭本人と、雇用関係にある教区などを訴えられるが、カトリック教会全体は法人ではないので対象にならない。教区が資金不足の場合、原告が勝訴しても実際に弁済金を受け取れないことが予想される。その場合、カトリック教会が全体としては余裕があっても、それは別問題ということになる。
 ニューファンドラド教区のケビン・ベネット前司祭による静的虐待の被害者36人による訴訟で問題になった。カトリック教会は責任を問われない、と最高裁が判断した場合には、1万1000件以上もの同様訴訟への弁済を連邦政府が負担することになる。
 問題の多くは、ローマ・カトリック教会と連携してカナダ政府が運営していた、先住民対象の寄宿学校で起きたもの。教会が責任を問われない場合、連邦政府だけが数万人もの被害者に賠償金を支払う責任を問われかねない。
 カナダ司教協議会側は最高裁弁論でカトリック教会を訴訟に引き込むことは、危険な前例になる、と主張した。「単に信仰だけをもって弁償義務があるとするなら、それは良心と信教の自由という憲法に保障された権利に触れる問題となる。無限責任を問われ兼ねない信仰に誰が入りたいと思うだろうか」と言う。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/02/02