【エルサレム=ENI・CJC】イスラエル政府は1月25日、聖地のギリシャ正教会総主教にイリネオス一世の選任を承認した。承認をめぐって2年以上続いた抗争に終止符を打ったことになる。
ギリシャ出身のイリネオス一世は2001年8月に主教会で選出されたが、パレスチナ民族解放機構の指導者、ヤッセル・アラファト議長と親密な関係にあると伝えられ、イスラエル政府が選任を認めなかった。
「相当に時間がかかったが、今回の承認は、エルサレム総主教座を支持するギリシャ政府の努力の結果だ」とイアンニス・マグリオティス外相は語った。
何世紀も守られてきた伝統によれば、エルサレム総主教は聖地の統治者、現在ではイスラエル、パレスチナ当局、ヨルダンの承認が必要。パレスチナとヨルダンは選任直後に承認していた。
イスラエル側は、総主教がユダヤ教国家と対立すると予想、ギリシャ正教会が聖地で所有する不動産のイスラエル市民への賃貸更新を妨げるのではないか、と懸念していた。クネセト(イスラエル国会)の敷地も、ギリシャ正教会所有という。
聖地のキリスト者ではギリシャ正教会が最大。イスラエルが承認しないことに、米国でギリシャ正教会とユダヤ教共同体の間も緊張が高まった。
承認の報に、エルサレム駐在の米ユダヤ委員会の国際超教派担当、ラビ・デービッド・ローゼンは「イスラエルは正しく賢明なことをしたと思う。この不可避で明白な決定に至るまでにこんなに時間がかかったことは遺憾だ」と語った。□