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米大統領選でカトリック司教はケリー候補に不満

 【オックスフォード(米オハイオ州)=ENI・CJC】米大統領選で民主党の有力候補として目立って来たジョン・ケリー上院議員。生まれながらのカトリック教会信徒だが、妊娠中絶支持の立場が教会の不興を買い、聖体を受けないように、と語る司教も出ている。
 司教会議は昨年11月、特に妊娠中絶や同性愛者の権利問題などで、教会の立場に沿わないカトリックの大統領候補には批判的だ、という姿勢を明らかにした。
 「それは興味ある展開になっている」と、週刊紙『ナショナル・カトリック・リポーター』のトム・ロバーツ編集者は言う。「司教たちが、多元主義と、候補者をコントロール出来るのか、出来るとしてもどこまでかという問題と戦っていることは明らかだ。問題の発端は妊娠中絶だが、あまりに複雑だ。例えば、どこで線を引くのか。貧しい人たちを傷つける計画に賛成する人を排除し、その一方で妊娠中絶に反対する人を排除しないことか」と言う。
 ケリー候補が属しているボストン教区のショーン・オマリー大司教は、妊娠中絶に賛成のカトリック候補者は聖体に預かり、自ら反省すべきだ、と語った。さらに、新たに選任されたミズーリ教区のレイモンド・バーク司教は、聖体を授けないと言う。
 ケリー候補は、長らく妊娠中絶を支持して来た。同氏の選挙対策関係者は『セントルイス・ポスト・ディスパッチ』紙に、バーク司教の聖体拒否には同意出来ないと語った。「大司教は誰に対してでも聖体を拒否する権利がある。しかしケリー上院議員はその問題では大司教と意見が違う」と言う。
 2003年7月、バチカン(ローマ教皇庁)は、カトリック政治家に対し、同性愛者間の結婚合法化へのいかなる動きにも反対するように、との書簡を発表、議論を蒸し返した。「カトリックの立法者は、(同性愛者の結婚法に)ついて自らの反対を明確に公表し、それに反対投票をする道義的な義務を持っている。公益にこれほど有害な法律に賛成票を投じることは重大な不道徳だ」と書簡は述べている。
 同性間の“結合”(市民婚)は支持するものの、同性結婚の合法化には反対しているケリー候補は、バチカンに対し、教皇ヨハネ・パウロ二世は「一線を越えた」として、米国の政治に介入しないように、とだけ語った。
 カトリック者は約6500万人で全米総人口の4分の1を占め、最大教派。今日まで唯一のカトリックの大統領は1963年に暗殺されたジョン・F・ケネディー。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/02/24