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教会の変化のただなかで教皇在位25周年

 【ワルシャワ=ENI・CJC】最新の教皇庁年報は、ローマ・カトリック教会の全世界規模での成長を伝えているが、特に教会の重心とでも言ったものがヨーロッパから第三世界へ移行するという変化が目立っている。
 「これがプライオリティ(優先順序)の変化をもたらすなら、良いことだ。これまで、私たちの教会の普遍性ということの理解はあまり狭かった」と、ポーランド・ドミニコ会のマチェイ・ジエバ会長は言う。
 この3月に在位25年になる教皇ヨハネ・パウロ二世、在位期間としては史上第3位の長さになるが、1978年に着座した時には信徒7億5000万人だったのが今日10億7000万人と、世界総人口の17%を占めるまでになった。
 カトリック教会はヨーロッパではなお拡大しているが、その速度は低下している。ヨーロッパのカトリック者は1978年には全カトリック教会信徒の35%2億6600万人だった。2001年には2億8000万人に増加したものの総数の4分の1に止まっている。
 ヨーロッパは歴史的文化的にはなおカトリックの中心ではある。しかしその影響力は全域で衰退している。教皇の出身地ポーランドを除くと、聖職に献身する人の数は減少している。ポーランドだけが勢い盛んで86神学校からの卒業生は6682人と、全ヨーロッパの3分の1を占めている。
 スペインでは、司祭の41%が引退年齢を過ぎている。68ある神学校で2003年の入学者が全くいなかった。全神学生は1797人だが、50年前には7052人いたのだ。
 フランスでも聖職者の数は同期間で急減している。教会に行く人も10人中1人に満たない。
 ドイツでは、1990年から2001年までに積極的な信徒数は620万人から400万人に減った。ベルリン大司教区は207ある小教区を半減し、いくつかの会堂を売却して1億5000万ユーロ(約195億円)の債務返済に充てると言う。
 対照的に、1978年以来、聖職者への召命はアフリカ、アジア、ラテンアメリカ(中南米)で増加している。アフリカだけで現在2万人以上が聖職者になるべく訓練を受けている。2002年が6%増え、25年間で見ると4倍の増加を示している。
 最新のコミュニケーション技術やメディアを駆使して、第三世界の教会は西欧とは異なる展望を持ち、その重要性も増している。
 フランスで活動する外国人聖職者の数は過去5年間で6倍に増加した。スペインのバルセロナからオランダのユトレヒトまで主要なヨーロッパの大司教区はますます発展途上国出身聖職者の助けに頼るようになった。
 こういった変化は、第二バチカン公会議によって形成された寛容な西欧カトリックの高齢者層と、開発途上地域の保守層の間の緊張をあおるかもしれない。
 聖職者独身制の緩和とか、女性聖職容認といった欧米のカトリック教会内で主張される「進歩的な内部の課題」は、欧米以外のカトリック教会ではほとんど関心を呼ばない、とマチェイ・ジエバ氏は指摘する。「二、三十年前の問題から関心を移さなければならない」と言う。
 ロンドンで出されている有力カトリック週刊誌『タブレット』のオーステン・イヴァリー副編集長は、枢機卿が教皇ヨハネ・パウロ二世の後継者を選ぶためにバチカンに集まる時、その選択は教会の地域的、文化的な変化を反映するようになるのは必至だとして「現教皇がバチカンを東欧に開いたように、開発途上世界にバチカンを開くために、アフリカ、アジア、ラテンアメリカ(中南米)から教皇が選ばれるべきだ、という声はおおっぴらに聞こえる」と語った。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/02/24