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北京でキリスト教新会堂2カ所、クリスマスまでに完成

 【CJC=東京】1949年に、共産主義政権が樹立されて以来、宗教的な表現や実践は厳しい統制下に置かれた。教会堂も閉鎖されたまま放置されたり、他に転用された所が多く、新設などはほとんどなかった。
 中国の信者は「無登録の」、いわゆる非公認の地下教会「家の教会」を形成することを強いられた。政府管理下にある「公認」教会はキリスト者の僅か10%を擁しているだけで、多くは非公認の地下教会の属している。
 政府の発表では、カトリック信徒1000万人、プロテスタントの信者1500万人となっているが、全キリスト者は約9000万人で、その9割が「家の教会」に出席している、と推定される。
 政府は宗教活動を制限し、そして一貫して「家の教会」を迫害して来た。それが今この50年間で初めて、中国政府が北京に2カ所で教会堂を建設している。北京市宗教局の李保群局長が2001年5月、同市では3000万元(約4億5000万円)を投じて、朝陽区および豊台区に2000人規模の教会堂建設を計画していることを明らかにした。
 人口約1400万の北京市で、会衆席200人から300人の教会が5カ所あるだけだった。新会堂は2004年のクリスマスまでに完成する。
 中国の教会に何か急変があったのか。国際的な支持をねらったものだ、とする見方もある。
 中国は、迫害の実態を監視している国連と米国の双方を、さらにはさまざまな人権団体を喜ばせたい、と考えていると言うのだ。加えて中国は現在、世界貿易機関のメンバー。それには人権と宗教的な自由の双方が求められる。2008年には五輪大会が北京で開催される。世界の目が中国に注がれるのだ。
 教会堂建設は、中国側が世界に見せる「民主主義の展示」と考えているのだろう、と米宣教メディア『ミッション・インサイダー』は指摘する。これら政府によって設立された教会の牧師が共産主義に友好的なことは確かで、その説教も救
いは「憐れみによって」ではなく「愛によって」得られるという、神学的には誤ったものになろう、と手厳しい。
 そうは言っても、教会堂が増えればそれだけ多く信者を受け入れられることにはなる。「福音がこれらの会堂で自由に説かれるように、そして信者が政府に統制された説教壇から説かれる偽の教義にだまされないように祈ってほしい」と「ミッション・インサイダー」は言う。さらに、中国政府が弾圧を続けている「家の教会」に集う信者のためにも祈りを、と呼びかけている。
(注=建設中の2教会堂はプロテスタントのものと推定されるが、「ミッション・インサイダー」、北京市宗教局ともに明確に言及してはいない。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/03/01