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カスパー枢機卿、アレクシー二世総主教と会見

 【CJC=東京】教皇庁キリスト教一致推進評議会議長のウォルター・カスパー枢機卿は、2月17日から23日までモスクワを訪問した。ロシア連邦カトリック教会司教らの招きによるもの。
 同枢機卿は17日、ロシア正教会・諸教会対話責任者、スモレンスク=カリニングラードのキリル府主教と会談、両教会の抱える課題解決のための委員会設立などを討議した。
 枢機卿さらにモスクワの神学アカデミーを訪問、教授や神学生との会談では、教授陣の交換や奨学金に至るまで、両教会の協力を促す具体的な話し合いが行われたという。
 同枢機卿は22日、ロシア正教会の最高指導者、モスクワ総主教アレクシー二世と会見した。同日はアレクセイ2世の75歳の誕生日。枢機卿は教皇ヨハネ・パウロ二世からの手紙を手渡しお祝いの言葉を述べた。続いて教会関係者、報道陣立会いのもとでの会見、続いて総主教との個人的会談が行われた。
 今回の訪問は、カトリック教会とロシア正教会との和解、さらには教皇ヨハネ・パウロ二世のモスクワ訪問実現につながるとの見方があったが、直前になってウクライナにおけるギリシャ典礼カトリック総大司教区設立に対する憶測や批判がモスクワ総主教座から表明されるなど、緊張をはらんだ雰囲気のもとに行われた。
 モスクワのカトリック大聖堂で2月18日開かれた「正教会信仰とカトリック教会」会議の後でアレクサンドル・ピエトリツク神父は「ロシアのカトリック教徒はカスパー枢機卿のモスクワ訪問が正教会とカトリック教会の間の友好関係樹立に役立つことを願っている」と語っていた。
 正教会総主教座のバチカン非難に関して、ピエトリツク神父は「私はモスクワをカスパー枢機卿が訪問することが、ローマ教皇の政権が司教区のランクに上げられた時からずっと、ロシアのカトリックに何年間も浴びせられた非難を軽くするかもしれないと希望する。ギリシャ典礼カトリック教会に対する非難は我々をも大きく緊張させている」と言う。
 モスクワ訪問を終えたカスパー枢機卿は、バチカン放送に、「アレクシー総主教と会見できたことに満足している。会見の最初の方では、総主教は過去からの両教会間の問題を繰り返し述べていたが、後半は各種の問題について意見の交換をすることができた。この訪問の成果が未来に反映されることを願うが、ともかく『第一歩』ということだ」と率直な感想を述べた。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/03/01