教界ニュース

 

フィリピン教会指導者が平和へ共産主義者との連携歓迎

 【CJC=東京】ENI通信によると、フィリピンの教会指導者は、政府と共産主義反政府勢力との和平会談が前向きの結論を出せるよう協力を進める方針。それにより、アジアで最も長い共産主義者による反乱の解決を期待している。
 フィリピン政府と、フィリピン共産党(CPP)、新人民軍(NPA)などで組織された民族民主戦線(NDF)との和平会談はノルウェーのオスロで2月9日開催された。
 アロヨ大統領は、就任直後、中断していた共産主義勢力(NDF=民族民主戦線)との和平交渉再開に努め、2001年4月、ノルウェーの首都オスロでフィリピン政府と共産主義勢力との和平交渉が約2年ぶりに再開されたが、フィリピン北部カガヤン州で下院議員が共産ゲリラにより殺害されたことで、フィリピン政府は交渉の無期限延期を決定するなど紆余(うよ)曲折をたどり、03年1月、政府は「最終和平協定案」を策定、共産勢力側に提示したが、共産勢力側はこれを拒否。その後の非公式交渉により、公式和平交渉が再開されることとなったもの。
 フィリピン合同教会のアラン・レイ・サルテ監督は「大きな進展があったことを歓迎する。教界人として、双方が合意に達したことの強化に貢献したい。双方がまだ戦闘状態にあるにしても、話し合いの場に戻ったという事実は、真に永続的な平和の暁が近いとの希望を与える」と言う。
 201年9月11日の同時多発テロ事件を受けて、米国はアルカイーダと共に02年8月、比共産党と新人民軍を「外国テロ組織リスト」に追加した。フィリピン政府は、米国の措置を歓迎し、国軍と国家警察による対新人民軍作戦の継続を表明する一方、共産勢力との話し合いの窓口を開き、和解達成を希望するとしていた。
 今回の会談では、フィリピン共産党と新人民軍を「外国テロ組織リスト」指定から外すべきだという要求をフィリピン政府が支持すべきだ、と民主戦線側がしたため、初め会談は崩壊の瀬戸際にあると伝えられた。一方、政府代表は、テロ組織指定問題で外国に強制は出来ないと断言した。
 民族民主戦線側代表の元カトリック司祭ルイス・ジャランドニ氏は、共産主義勢力が「アルカイーダやオサマ・ビン・ラデンのようなものではなく、かつてネルソン・マンデラ氏が率いていた反アパルトヘイトの運動のアフリカ民族会議のような解放運動だ」と強く主張している。
 フィリピンの教会指導者と平和運動家は、政府と民主戦線双方が、テロ組織指定問題での行き詰まりを避け、2月14日に「オスロ共同声明」に署名したことを歓迎する声明を発表した。
 声明は米国、欧州連合、カナダ、オーストラリアなどに「テロ組織指定問題を解決する方向での努力を支援する」よう呼び掛けている。
 「このような指定は全く不必要だ。平和を促進するために我々は、異なった政策や思想、文化を持っている他者を不必要に決めつけるようなことは全て避けなければならない」とフィリピン聖公会のジョエル・パチャオ監督は言う。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/03/09