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エルサレム総主教の選定なお着地点見えず

 【エルサレム=ENI・CJC】聖地のギリシャ正教会は、2年以上も前に、イリネオス一世を総主教に選定したが、イスラエル側の承認が得られず、最高裁が3月3日になって、異例の不認可決定を下したことに懸念を強めている。
 最高裁は総主教認可の拒否を求める請願2件を却下したものの、イスラエル内閣の認可証発行を阻止する仮処分を行った。最高裁は、イスラエル政府が総主教に対する告発と、総主教が反ユダヤ主義だとする申し立てを慎重に検討しなかったと言う。
 ドリト・ベイニッシュ判事は「政府がイリネオス一世に浴びせられていた激しい非難について調査すべきだ。問題を警察が調査し、その報告を検事が調べるべきなのだ」と言う。
 裁判所の決定は、2月26日、政府の認可決定差し止めの訴えを却下した直後に出された。その2週間前、最高裁は請願に応えて、政府の総主教承認凍結に同意していた。イスラエル内閣は認可を2年以上も待たせた後、この1月、結局認可に同意したにも関わらず、なお決着を見ないことになった。
 これまで数百年にわたって新エルサレム総主教の任命を聖地の統治者が確認する伝統になっていた。現在の統治者はイスラエル、パレスチナ自治政府とヨルダン。
 総主教の選定がここまで問題になるのは、ギリシャ正教会が『クネセト』(イスラエル国会)など重要な建物の敷地を所有しているため。教会はイスラエル側に長期借地権を認めているものの、パレスチナ側の政治的圧力で更新されなくなることをイスラエル側は懸念している。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/03/16