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没後20年、カール・ラーナーの思想再読

 【ローマ=ZENIT・CJC】20世紀で最も影響力のあった神学者の1人カール・ラーナーの生誕100年と没後20年を迎え、3月4、5の両日、ローマのラテラノ大学で世界各国の神学者が記念集会を開いた。主題は『カール・ラーナーの思想再読』。
 記念集会は単にラーナーを記念するだけでなく、「彼の思想の適時性を決めるため、彼の神学を批判的に解読しようというもの」と主催者は説明している。バチカン(ローマ教皇庁)福音宣教省長官のクレセンジオ・セペ枢機卿と教理省次官のアンジェロ・アマト大司教も集会に参加した。
 インスブルック大学のカール・ハインツ・ノイフェルト教授は、ラーナーの多大な貢献の一つは、神学が生にどのように貢献するかを評価したことにある、として「ラーナーの貢献は生に関する」ことにある、と語った。「教会の生との関連を理解せずに教会との関係を失っている大衆に神学は仕え、助けるものなのだ。ラーナーに於いて、我々は教理神学と霊性の結び付きを把握出来る」と言う。
 ドイツ出身のイエズス会士としてのラーナーの思想に於ける三位一体の重要性を強調するのはラテラノ大学のモンシニョール・イグナチオ・サナ。「それが他者を排除する態度から信仰者を自由にし、聖体という霊性に向かわせる」と言う。
 『御言葉の聞き手』や『無名のキリスト者』などの著作で明らかなように、人間に関する「独自の、そして物議をかもす」明確な説明でラーナーは「救済の道程を広げ」ようとする。それは自身が専門家として参加した第二バチカン公会議でも取り上げられてしかるべき考えであった。
 マインツ司教でドイツ司教会議会長のカール・レーマン枢機卿は、ヘルデル社がスペインで出版した『カール・ラーナー=その思想の適時性』に序文を書いたが、その中で、枢機卿は、ラーナーにあっては「伝記と神学の作業が結び付いている」と指摘し、さらにラーナーが「教会を非常に愛した」と付け加えた。
 『20世紀神学史』の著者ロシノ・ギベリーニは、カントに影響を受けたラーナーの「先見哲学」に関する見解は、今では「時代遅れ」だが、それでもラーナーは「理性と信仰との連携を最も具体化した」20世紀の神学者であった、と言う。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/03/22