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英BBCテレビが「ノアの箱船」を“粉砕”

 【CJC=東京】ENI通信によると、大洪水でもノアの箱舟は沈まなかった、と聖書は伝えるが、やはりそれは「すばらしい神話」だった、という趣旨の番組を英BBCテレビが3月21日放映した。
 創世記(第6〜8章)は、神がノアに巨大なゴフェルの木の箱舟を建造し、自分と妻子や嫁たち、それにすべて命あるもの、すべて肉なるものから二つずつ、雄と雌を乗せるように命じられたこと、ノアが600歳の時、洪水が地上を覆ったことを記述している。
 箱舟の長さは創世記によると300アンマ(約140メートル)とされているが、それだけのものが当時の技術で出来ただろうか、と番組は指摘する。箱舟は、1912年に初航海で氷山に激突し沈没したあのタイタニック号の半分の長さだったことになる。
 番組の司会者ジェレミー・ボーエン氏は「ノアの物語に関し伝えられて来たことは、合理的歴史的な検証に耐えられない。まずあり得ないことで、作り話だろう」と断言した。
 当然の成り行きと言うべきか、番組は聖書の記述を文字通り真実だと信じる英国内外のキリスト者からの反発を招いた。
 米国人の約6割は、ノアの箱舟、大洪水、モーセが渡れるように紅海が裂けたことなど、創世記の記述を「文字通り本当のこと」と信じている、と南部バプテスト連盟のリチャード・ランド氏は2月に行われたABCニュースの調査を紹介した。
 番組で、ボーエン氏がインタビューした専門家たちは、箱舟のことだけでなく大洪水もなかった、地球にはそれほどの水がなかった、と言う。
 聖書だけが古代の大洪水について言及している訳ではない。『オックスフォード・キリスト教会事典』はバビロニアの神話にも大洪水の話、ギリシャ神話のデウカリオーン伝説、ギルガメシュ叙事詩などについて言及している。
 番組は、ノアの物語の起源がギルガメシュ王にあると結論を下す。ユダヤ教祭司が、物語の道徳的な力を認め、創世記に組み入れたと言う。
 ボーエン氏は「人類が神の掟に従わないなら、その償いは恐ろしいものになる」ということが、物語の背景なのだ」とまとめている。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/03/29