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「植物状態」という表現に教皇が疑問

 【CJC=東京】「人命援助処置と植物状態、医学の発展と倫理的ジレンマ」を議題とした会議が3月17日から20日までローマで開かれた。カトリック医師協会国際連盟と教皇庁生命アカデミーが共催した会議では、特に植物状態患者の尊厳という観点から見た人口的栄養・水分補給処置の倫理的意味が話し合われた。
 バチカン放送によると、教皇ヨハネ・パウロ二世は20日、会議参加者を接見した。
 教皇は、患者への栄養・水分の補給を中断することは、飢えと渇きのうちに患者を見捨て、死を招くことであり、人権と神の法の双方の観点からあってはならないこととし、さらに一人の人間の命のありかたを他の人々が勝手に判断することの危険性を指摘した。
 教皇はまた、「植物状態」という患者の「状態」を象徴的に表す医学用語が、患者の人間としての価値・尊厳そのものに直結して解釈されることを危惧し、「植物状態」という表現が実際に適当なものかという疑問を表明、「重病になり、いくつかの機能を行使することが妨げられても、人間は動植物になることはない」と、いかなる状況にあっても歪められることのない人間の尊厳を強調した。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/03/29