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アラブ世界でも『キリストの受難』成功

 【カイロ=EP・CJC】イスラム教の聖典コーランにはイエスの十字架は無かった、と書かれているが、『パッション(キリストの受難)』というメル・ギブソン監督の新作映画はアラブ世界でも大成功となった。
 イスラム教徒は、磔にされたのは別の男性だと信じている。しかし映画はヨルダン、シリア、レバノン、などアラブ諸国でも多数の観客を集めている。
 これまで宗教が主題の映画はアラブ世界では上映が禁止されたことからすれば、今回の成功は少しばかり謎でもある。
 AP通信によると、『パッション』は中東のキリスト者にも歓迎されている。
 エジプトでは教会とキリスト教書店で映画公開前に「海賊版」が日本円で100円程度で売られていたと言う。アラブ首長国連邦では、『ガルフ・ニューズ』紙が「裏切り、強欲、虚偽、許し、愛など人間をありのままに」描き出している、と社説で称賛した。
 レバノンのマロン典礼カトリック教会の首長ナスララ・スフェイア枢機卿は特別上映を見た後で「大袈裟でなく、ありのままに描かれている。とても悲しい映画だ。そして反ユダヤ主義を何も感じなかった」と記者団に語った。
 映画にはアラム語が話される場面があるが、キリスト者ジャーナリストでアラム語に堪能なサリム・アブラハム氏(37)は「初めて大スクリーンで、このような力強い映画で、私の言語が話されるのを見られて、非常に幸せだ」と語った。「映画に反ユダヤ主義的なものは何もないと思う。少し誇張された所もあるが、事実をありのままに示している」と言う。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/04/12