教界ニュース

 

「悪霊払い」反対の姿勢を再確認へ=スコットランド教会

 【ロンドン=RNS・CJC】スコットランド教会(長老派)が5月にエディンバラで開催する総会で、「悪霊払い(エクゾーシズム)」に反対の姿勢を再確認する。
 同派社会的責任部会が設立した研究グループは、悪霊払いの儀式はスコットランド教会に「必要ない」との結論を出した。その代わりに「祈り、祝福、癒し」を行うのが正しい、と研究グループは信じると言う。
 悪霊払いは、支持者からは「救出の業」と呼ばれているが、この問題に関するレポートで、研究グループは誤診と不正治療の危険、特に精神疾患に悩む人には危険だと強調した。そのような人々は、独自の精神構造を利用して、新しく奇妙な信仰システムを構築することで、自らの症候を意味付けようとする、とレポートは指摘している。
 精神異常を来している個人が、何らかの方法で悪霊にとりつかれたとするとか、実際に自らを神格化していることは珍しくないので、「救出の業」を推進する教会は、それらの人々に業を施すのが適切と見なすかもしれないが、研究では、軽々に実施すべきではない「多くの理由」があると指摘している。
 医療上の診断なしに行われる「救出の業」は治療を遅らせる事になる。悪霊にとりつかれた、と悩むような痛ましい妄想的な信念を強めるかもしれない。「救出の業」は、精神疾患を悪霊に結び付けるという信念を、社会に永続させて来たのだ。
 「患者は…他の人々が示す、極端な恐怖とそれに伴う敵意にさらされる。そして汚名と社会的な孤立は、実際の病気より悪い場合がある。『救出の業』は、それに拍車をかけることになる」とレポートは指摘する。
 研究グループは、「悪霊にとりつかれている」と疑われるような状況の複雑さを認識する事態に至った牧師など関係者は、対象者に医師の意見を聞くよう勧め、また自らも医学的な助言や、必要なら他の牧師の意見を聞くように望む、と言う。
 総会では、悪霊払いの儀式は、それが準備されたものであったにしても、「益より害多い」とした1976年の見解と、「牧会的に緊急な状況でない限り、また医師の意見や他の牧師の助言なしに悪霊払いの実行を控える」ように総会が牧師に要請した1984年の立場を再確認することになろう。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/04/12