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フランシスコ会士が国連人権委でイスラエルの分離壁非難

 【ジュネーブ=ENI・CJC】カトリック修道会『フランシスコ』会が3月24日、国連人権委員会で、イスラエルの分離壁を不法な併合行為だと非難、14億ドル(約1500億円)を投じ建設されている工事の即時中断を要求した。
 マルコ・マラゴーラ神父は、「エルサレムに住んでいるフランシスコ会修道士として、私は壁の建設によって毎日行なわれる極悪な人権抑圧を証言出来る」と語った。同氏は『聖地管理の正義と平和協議会』会長。
 国連人権委は25日、イスラエル占領地域に於ける人権侵害について討議した。各国の発言はイスラエルの行為、特に分離壁の建設を非難するものだった。
 それに答えてイスラエルのヤーコヴ・レヴィ氏は、イスラエルが「すべての市民の生活を、自爆とテロ攻撃から自営するため行動」していると語り、イスラエル廃絶を宣言して来た『ハマス』のようなパレスチナ組織の目的に注意を向けるよう促した。
 マラゴーラ氏は「無差別テロ攻撃から市民を保護するイスラエルの必要性を完全に理解している」と語った。しかし、分離壁がヨルダン川西岸地区に住んでいるパレスチナ人の基本的人権を侵害している、と言う。
 イスラエルは2002年に全長700キロに及ぶ壁の建設を開始した。「壁は移動の自由、健康、食料、教育などの権利を拒否することで21万人以上のパレスチナ人に影響する」と同氏は言う。
 国連人権委は、人権擁護関係のNGO(非政府組織)からの厳しい非難にさらされている。
 『国際アムネスティー』のイレーネ・カーン総幹事は、国連人権委が無意味な存在になってしまう、と有効に行動出来なかったことを非難した。
 「アルジェリア、中国、インドネシア、サウジアラビア、ロシア、ジンバブエなど、恐ろしい人権記録のある各国が精査を逃がれ、キューバのグアンタナモにある米軍基地に抑留された人たちの不当な扱いは委員会の議題にさえなっていない」と言う。
 同様の批判は『国境なき記者団』からも出された。サウジアラビア、中国、キューバ、ジンバブエを取り上げ、「それら各国は皆、国連人権委のメンバーだ」と指摘している。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/04/12