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米大統領選、ケリー氏とカトリック教会対立が浮上

 【ニューヨーク=ENI・CJC】米国で民主党から次期大統領選挙に出馬することが確実なジョン・ケリー上院議員はカトリック信徒だが、妊娠中絶を選択する権利を容認している。
 一方、バチカン(ローマ教皇庁)典礼秘跡省長官フランシス・アリンゼ枢機卿が4月23日、妊娠中絶を支持する政治家は聖体を受けるべきではないし、司祭も授けてはならない、と明確な指針を示した。
 同枢機卿は記者会見で、カトリック教会の中絶反対姿勢は周知のことであり、その解釈は米国司教団次第だ、と語った。 ケリー候補は同日、自己の主張を再確認、翌24日にはボストンの自宅近くの日常出席している教会で聖体を受けた。
 ボストン大司教区の報道担当は、誰にでも聖体授与を拒否しないのが教区の方針だ、とAP通信に語った。
 「強力なアメリカでは女性の権利がまさしく権利であって、政治家によって政治的な武器として用いられてはならないということを理解する大統領が必要だ」とするケリー氏には米カトリック教会の聖職者の中からも批判が出ている。セントルイスのレイモンド・バーク大司教はケリー氏が聖体を受けてはならないはずだ、と言う。
 この問題は教会にとっては頭痛の種。ニューヨーク州のマリオ・クオモ元知事を含め妊娠中絶権を支持するカトリック政治家は同じ要求に直面している。米カトリック司教団は問題を研究中という。
 ブッシュ大統領の支持基盤は、妊娠中絶反対を打ち出す立場に同意する保守的な人たち。今回のケリー氏がをめぐる一連の動きは、ワシントンで中絶支持100万人集会が行われたことに関連して浮上したとも見られる。ケリー氏自身は集会に参加しなかった。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/05/04