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「暴力を煽るようなことを止めよ」=息子殺されたアラブ人キリスト者弁護士

 【エルサレム=ENI・CJC】イスラエルの裁判所でパレスチナ当局を代表して活動しているアラブ人キリスト者の弁護士エリアス・コウリ氏は、20歳の息子がこの3月エルサレム郊外でジョギング中に、パレスチナ人に銃殺された。
 同氏はギリシャ正教会信徒。イスラエル警察が殺害容疑者としてパレスチナ人3人を逮捕した、との報を受けて、暴力を煽るようなことを全て止めるようパレスチナ当局とイスラム教指導者に訴えた。大学生の同氏の子息はユダヤ人と間違えられて殺された。
 「私にとって、非常な苦痛は、価値を見失い、パレスチナの大義とか恐らくは神に仕えるために法を用いようとする人を失ったことに加え、さらに完全なアナーキー、混乱、カオスの状態が存在しているという明快な証拠があることだ」と言う。
 同氏は、パレスチナの指導者がこの「アナーキー」を終わらせ、「平和」のためにパレスチナ人の子どもの教育を始めるように呼びかけた。
 容疑者3人は、いずれも18〜19歳で、ヨルダン川西岸のラマラから殺害目的でエルサレムに来て、自動車でユダヤ人をねらっていた。3人は殺害の翌日、犠牲者がアラブ人だと知ったと言う。
 「誤り」については謝罪したものの、3人は、コーランの教えと神の名にかけて任務を実行した、と行動を正当化している。
 これに対しコウリ氏は、イスラム教指導者が現在の状況を考慮しなければならないとして「宗教指導者は、まず第一にこれらの若者が宗教的な問題に取り組むのにどんな影響を受けているか、そして最も醜い方法でそれを歪めているかを見る必要がある」と言う。
 「これは神の意志、コーラン、イスラム教に矛盾している。問題を自らの手に委ねているからだ。立ち上がって、これらのことをはっきりと言うイスラム教指導者が必要だ。沈黙したままでは、指導者はイスラム教とパレスチナ人社会を破損するだけだ」
 コウリ氏は、息子の射殺のような奔放な殺害に向かう傾向がパレスチナ人社会における倫理的価値の崩壊に通じることが心配だと言う。
 「宗教指導者、パレスチナ指導者、パレスチナ人社会と、そして今もそこに人生の価値を見出す人すべてにまず向けた私のメッセージは、皆が立ち上がり、勇気を出して、『もう十分だ』と言わなければならないということだ」と同氏は語っている。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/05/10