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カシミールで活動しているベテラン宣教師に国外退去命令

 【コーチ(南インド)=コンパス・CJC】インド外務省スリナガル外国人登録事務所は4月22日、宣教師ジム・ボースト氏(67)に滞在期間延長を認めず、即時国外退去を命じた。
 同氏はオランダ出身。1963年以来、インド北西部カシミールで活動している『ミル・ヒル宣教団』(本部英国)の指導者。カシミール州のバーン・ホール学校とセント・ジョセフ学校の校長も務めている。
 UNI通信は、登録事務所が書簡で、ボースト氏が2003年12月30日に出国したものの、その後カシミール不法入国した、と通告したと伝えている。法律違反で起訴される可能性があるが、この際再度即時国外退去を命じる。それを受け入れない場合、法的措置をとる、という内容。
 全インド・キリスト教協議会(GCIC)は強硬な抗議を表明した。サヤーン・K・ジョージ議長は、ボースト氏が、カシミールの人たちに適切な援助提供しているとして国際的に評価されている教育者だとして「私たちはスリナガルのような場所で、宣教に反対するグループやテロリストからの激しい反対に勇敢に立ち向かって来たことを知っている」と語った。
 『ミル・ヒル宣教団』は1866年に貧困者救援を目ざし、ハーバート・ヴォーン枢機卿によって設立された聖職者と一般信徒による組織。現在約550人が世界各地で活動している。インドでは、エイズ患者、ハンセン病患者、聴覚障害者などのために奉仕、それらの人々と共に暮らすことで知られている。
 ボースト氏は聖書のカシミール語への訳出にも取り組み現在、新約聖書と詩篇の訳出を終わっている。
 現地の消息筋は、最近の数カ月、地域での紛争に幻滅したイスラム教青年や下層カーストのヒンズー教徒が数百人規模で、解決を求めてキリスト教宣教師に頼って来るようになっていると言う。「それが今回の国外退去命令の本当の理由かもしれない」と、カシミールのあるキリスト教指導者は見ている。□

KIRISUTO.INFO Last Update : 2004/05/10