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国際アムネスティの年次報告書、政府や武力集団を非難

 【CJC=東京】人権擁護団体『アムネスティ・インターナショナル』は5月26日、ロンドンとワシントンで恒例の年次報告書を発表した。
 昨年が「この50年間で、人権と国際人道法へかつてなかったほどに執拗な攻撃を加えられた年だった」として、「グローバルな価値に対する戦争」が一般人の人権を破壊し、「不信、恐怖、分裂が増大する世界」に導いていると言う。
 3月11日のマドリードでの爆破事件や、セルジオ・ビエイラ・デメロ国連人権高等弁務官の命を奪った2003年8月19日のイラクでの国連ビル爆破攻撃などの人権侵害を実行した武力集団を厳しく非難、民間人、および国連や赤十字国際委員会のように紛争解決や治安回復に取り組んでいる機関への攻撃は、国際正義に対する深刻かつ新たな脅威だ、と指摘している。
 「一方で、これらの攻撃から我々を守りうる国際法の原則や多国間行動の手段が、強力な国家によって侵害され、片隅に追いやられ、また破壊されていることもまた、極めて恐るべき事態である」と、アイリーン・カーン事務総長は述べた。
 報告書は、イラクで起こっている「連合軍」や武装集団による市民への国際法に反する殺害について詳述している。拷問や虐待の報告は、何百という囚人たちが置かれている弱い立場を強調、それらの囚人たちが、イラクだけでなくキューバのグアンタナモ基地、アフガニスタンなどで、起訴や裁判もなされず、弁護士に接見することも認められず、あるいはジュネーブ条約の保護を受けることもできないまま、米国とその同盟国によって身柄を拘束されている、と指摘する。
 報告書は、宗教上の理由で行われた虐待を正式に調査したものではないが、価値と宗教的信条の名において行われた攻撃を記録している。
 たとえば「アルカイダなどの武装集団による、非情で残虐で違法な攻撃は、世界中のあらゆる所にいる人びとの安全に対する真の脅威」と、アイリーン・カーン事務総長は言う。また、多くの国での宗教自由の違反を詳細に指摘している。
 旧ソ連圏のグルジア共和国について報告書は、宗教的少数派がグルジア正教会支持者からのハラスメント(嫌がらせ)、威嚇、暴力にさらされ続けている」と言う。
 トルクメニスタンでも、非公認宗教団体のメンバーはハラスメントを受けており、認可されたロシア正教会やスンニ派イスラム教も厳しい統制下にある。
 パキスタンでは、「冒とく法」が、信仰上の理由で投獄された人々に乱用されており、宗教的暴力を誘発させていると言う。□

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