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カトリック教会とロシア正教会が「改宗」問題に取り組む

 【モスクワ=ZENIT・CJC】カトリック教会とロシア正教会は、いわゆる「改宗」が本当にロシアにとって問題なのか確認作業に取り組む。この動きは両教会間の問題解決を図る共同作業グループの5月5、6の両日の初会合から出てきた。
 会合で見られたのは慎重な楽観主義だった。「大きな困難にもかかわらず、両教会のこれまでの関係の中で、いくつか積極的な変化が見られる」と、カトリック教会ロシア司教会議のイーゴリ・コワレフスキー神父が報告した。
 共同作業グループは、昨年2月に教皇庁キリスト教一致事務局長のワルター・カスパー枢機卿がモスクワを訪問した結果生まれたもの。カトリック側はコワレフスキー神父、正教会側はフセフォロド・チャプリン長司祭が代表を務めている。
 取り上げられた問題の中に、「カトリック教会が改宗活動を進めている」との東方正教会側の不満がある。
 カトリック教会側は、共同作業グループを、一種の「法廷」と見なすのでなく、相互理解を深めることに役立てなければならないと指摘した、とイタリアの新聞『アッヴェニーレ』は報じた。「キリストの平和を今日の世界で光り輝かせる協力の積極的な経験」があることを正教会側が認めている、とコワレフスキー神父は言う。
 ロシア科学アカデミー欧州研究所社会宗教調査センターのアナトリー・クラシコフ所長は、作業グループの初会合の結果、「改宗」の具体的な研究、それが事実かまたは想像かということについて直接関係者も加わり進めることになった、と言う。同所長は、国際宗教の自由協会欧州アジア本部名誉会長でもある。
 クラシコフ所長によると、チャプリン長司祭は、カトリック者がロシアで憲法や諸法令に完全に沿って活動していると認めたが、キリスト教会が互いに競争する企業のように行動は出来ないとも語っている。
 コワレフスキー神父は「私たちこれまでも、今も、そして将来も信仰告白的には少数派であろう。私たちは過去にいくつかの誤りをおかしたであろうが、改宗には関係なかった」と言う。
 同神父はまた、カトリック修道女の慈善事業に関する協議の際、「難しい」子どものためにモスクワに設立された孤児院では、子どもたちを正教会へ祈りに連れて行っていることにも言及した。困窮者を助け、信仰による区別もしないカトリックの救援活動『カリタス・ロシア』や、教授を信仰によって差別しないモスクワの聖トマス神学聖書大学などの例も、「だれも驚かされない」事実だ、とクラシコフ氏は言う。
 さらに、ヤロスラフ地域では麻薬患者の医学的リハビリテーションのためにカトリック・センターが設けられているが、そこでは協定で、信仰的な配慮は正教会の聖職者が行っている、と言う。
 共同作業グループの次回会合は9月に予定されている。□

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2004/06/07