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エキュメニカル総主教がバチカンを訪問

 【CJC=東京】正教会の指導者コスタンティノポリスのエキュメニカル総主教バルトロメオス一世が6月29日、バチカン(ローマ教皇庁)に教皇ヨハネ・パウロ二世を訪問した。
 この訪問は、1964年1月、エルサレムで当時の教皇パウロ六世と総主教アテナゴラス一世との歴史的出会いから40年を記念したもの。教皇とバルトロメオス一世とは1995年以来の再会。
 教皇は、1204年に十字軍がコンスタンティノープル(現在のイスタンブール)を略奪したことに触れ、両教会の関係を悪化させた「過去の苦痛な事実」の一つだ、と遺憾の意を表明した。両教会は教義や首位権など問題で溝を深め1054年に相互に相手を破門することで分裂が決定づけられた。
 1964年以来、和解への動きが始まり、教皇選出翌年の1979年には、ヨハネ・パウロ二世がエキュメニカル総主教座を訪問、その後すぐ、ローマ・カトリック教会と正教会の間の神学討議のための共同国際委員会が設立された。しかし最近は、東方典礼カトリック教徒をめぐって緊張が高まっていた。
 教皇は同日午後、使徒聖ペトロ・聖パウロの大祝日のミサを行った。このミサにはバルトロメオス一世も特別来賓として参加した。ミサでは、ラテン語とギリシャ語が用いられ、信仰宣言は教皇と総主教が共にギリシャ語で唱え、キリストの信仰における一致を強調した。
 総主教は「900年間蓄積された」問題は40年では克服出来ないが、それでも、いつの日か両教会が再び「同じ杯から聖体」を受けられるだろう、という望みを述べた。
 教皇は、エキュメニズム(教会一致)へのローマ・カトリック教会の関わりは「逆行出来ない」と語った。
 またバチカン放送によると、このミサの伝統行事として、首都司教座の新しい大司教へのパリウム(白い羊毛地に黒で十字の縫い取りをした帯状の肩被い)の贈与式が行われ、長崎の高見三明大司教ら44人が教皇から祝別されたパリウムを受けた。
 バルトロメオス一世は30日、教皇庁キリスト教一致評議会局長のワルター・カスパー枢機卿と会談、また教皇と共同宣言に署名した。
 7月1日発表された共同声明で、正教徒とカトリック教徒は、イスラム教との実際の対話構築に努めることが明らかにされた。
 バルトロメオス一世は送別昼食会で、教皇をトルコのエキュメニカル総主教座に招待した。
 バチカン放送によると、教皇は喜んで招待を受けた。□

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2004/07/05