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対イスラエル、米長老教会の姿勢にユダヤ系団体が批判

 【ニューヨーク=ENI・CJC】米長老教会(PCUSA)がイスラエルに対し、またキリスト教とユダヤ教の関係について批判的な姿勢を示して来たことに、米国のユダヤ系団体が激しく反発している。
 イスラエルでビジネスを展開している企業からの資本引き上げの呼び掛けなどが問題になった。反発は激しく、ケンタッキー州ルイビルの同派本部には抗議の電話や電子メールが殺到、同派は6月26日から7月3日までバージニア州リッチモンドで行った総会で、正式に釈明せざるを得なかったほど。
 ユダヤ系団体の一つ『ブネイブリス』は、これまで出された決議などを「不快」とし、それらが撤回されない限り、同派との対話を全て拒否するよう、ユダヤ系各団体に呼び掛けている。
 同派が出して来た決議は広範囲にわたる。ユダヤ人をキリスト教に改宗させるための宣教に資金を調達すること、救世主が地上に再臨されるまで聖地はイスラエルが管理すべきだと信じるキリスト教シオニズムは、長老主義の神学的伝統とは相容れない、などといったことが含まれている。国連や国際裁判所も反対する、パレスチナ市民を封じ込めのためイスラエルが建設中の分離壁にも同派は廃止要請を決議している。
 さらにクリフトン・カークパトリック総会副議長が「選別引き上げ」と呼ぶ、イスラエルでビジネスを行っている企業からの教会資金引き上げ決定は、パレスチナ市民やイスラエル市民を問わず関係のない市民に直接的間接的に害をもたらすことになるとして、より論議を呼ぶものと見られる。
 アメリカ・ユダヤ人委員会のジェームズ・ルーディン宗教顧問は、長老教会の決定に「立腹している」と言い、特に選別問題は、かつて1970、80年代に米国の諸教会が南アの白人少数政権に対して行ったことを想起させる、としている。「アパルトヘイト(人種隔離)を行った南アと比較することは完全に拒否する。それは全く別のことだ」と言う同氏は、長老教会が、人権侵害が問題となるサウジアラビア、イラン、シリアなど他の中東諸国に対して同様の措置を取っていないとして「私は、イスラエルが特別な敵意のために選ばれたのだ、と再三言って来た」と語った。□

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2004/08/10