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教皇が聖地ルルドを訪問

 教皇ヨハネ・パウロ二世(84)は8月14日、フランス南西部ピレネー山脈のふもとにある聖地ルルド巡礼のためオートピレネー県タルブを訪れた。6月のスイス・ベルン訪問に続き今年2回目の外遊、通算では104回目となる。教皇は自らルルド巡礼を希望したという。
 カトリック教会では聖母の被昇天の祭日に当たる15日、ルルドで、教皇が出席して野外でミサが行われた。約100人の司教や世界各地から訪れた数十万人の巡礼、観光客が参加した。
 パーキンソン病に悩まされている教皇は、高齢もあって、2時間以上に及んだミサで、いすに座ったままだった。
 教皇はミサの説教で、特に女性に対し「命の大切さ」を強調、言外に人工中絶を批判したが、その声は、時折かすれた。
 ルルドは、聖母マリアゆかりの「奇跡の水」で知られる。1858年、水車小屋の娘ベルナデットの前にマリアが出現し、病人を癒やす「ルルドの泉」の場所を告げたと伝えられている。
 14日昼前に現地入りした教皇は空港でシラク仏大統領の出迎えを受け、空港内で、「寛容で平和な世界の構築」を訴える演説を行った。
 シラク仏大統領は、昨春のイラク戦争に際しフランスとバチカン(ローマ教皇庁)が国際的な反戦世論を先導したことなどを念頭に、「フランスと教皇庁は平和を守る戦いで共通の価値観を持っている」と述べた。
 教皇は、奇跡の泉の洞穴で祈りをささげたが、高齢で持病を抱え、旅の疲れに30度近い暑さが重なったためか、意識がもうろうとする場面が見られたと言う。マリアが出現したとされる洞穴の前では、大粒の涙を流した。
 ルルドを訪れる巡礼者は年間約600万人。教皇にとっては、自身の回復も祈る旅になった。教皇は、狙撃事件で重傷を負った翌々年の83年にもルルドを訪れている。(世界キリスト教情報)

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