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中国に宗教の自由は存在するか、キリスト教世界の対応割れる

 【CJC=東京】中国の宗教迫害をどう評価するのか、中国に宗教の自由は存在するのか、多様な情報が中国から出て来るのに、西側キリスト教世界の対応も様々だ。
 米国の福音派系教派や団体は、中国で宗教迫害が行われているという情報を出し、「自治、自養、自伝」の三自愛国運動を進めるプロテスタント最大組織『中国基督教協議会』は中国政府の道具に過ぎないとする向きが多い。一方、福音派以外のいわゆる“主流”教会は同協議会と連携し、中国に宗教の自由は存在するという立場。中国側もそれを強調する。
 カトリックでも公認の天主公教会と、教皇に忠誠を誓う地下教会があり、後者への迫害の実態を監視する団体が情報を提供している。
 ENI通信によると、バプテスト世界連盟(BWA)のデントン・ロッツ総幹事を、中国での宗教迫害の実態を軽視している、としてカナダのキリスト教抑圧監視団体『殉教者の声』(VOM)が9月1日非難した。同氏が8月27日、BWAのウェブサイトに中国訪問記を掲出、政府公認の中国基督教協議会と南京金陵神学院を支持したことに抗議したもの。
 『殉教者の声』のグレン・ペネル報道担当は「善意の人々が純真にも、世界一ひどい宗教的権利の侵犯者である共産党政府に、中国のイメージ回復のため使われているのを見るのは悲惨だ。キリスト者は、かつてのソ連での経験から、公認宗教団体が見せたり語ったことは信用できないということを学んだと思われているのに」と声明で指摘した。
 これに対しロッツ総幹事は、個人的な見解であり、BWAを代表して語ったものではないとしつつも、中国訪問に関する自らの記述を強く擁護した。
 「共産主義者による抑圧の間、宣教師として東欧とソ連にいたものとして、私は、共産主義の下でキリスト者であるということが、何を意味するかを理解している。私たちは、全てのキリスト者と信仰を持つ男女のため宗教的自由が完全に得られるために戦っており、また戦い続けるつもりだ」と言う。
 ロッツ氏は、ウェブに載せたのは調査記事ではなく、中国政府の制限にもかかわらず、礼拝する自由があることを称賛しようとしたのだ、と語った。
 同氏は、完全な宗教の自由(ラジオ、テレビ、単科大学、総合大学、育児施設、孤児施設、病院、印刷所、公開の会合などを所有すること、と自身で定義している)が今日中国に存在していないことは認めている。
 BWAが批判にさらされたのは、これが最初ではない。この6月には、保守派でメンバー1600万人と米国最大のプロテスタント教派『南部バプテスト連盟』がBWAとの関係を断絶したが、これもBWAが“自由主義”色を強めていることを嫌ったためとされている。□

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