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マイスナー枢機卿が共産主義への郷愁感を懸念

 【ワルシャワ=ENI・CJC】「ベルリンの壁」崩壊から15年を経た今日、旧東ドイツには共産主義に関する郷愁がただよっていることから、カトリック教会ケルン大司教のマイスナー枢機卿(70)が、「心の中に残っている壁に打ち勝つ」よう市民に促している。
 「あまりに多くの人々が、共産主義政権下の制度がどれほど冷酷であったか忘れているのが残念だ。現在、20歳代と30歳代の世代は共産主義体制を子ども時代に過ごしたので、当時あった思想的なまた経済的な締め付けを完全に理解してはいない」と、同枢機卿は9月10日、教区が運営している『ドム・ラジオ』とのインタビューで語った。
 同枢機卿は、このほど週刊誌『シュテルン』に掲載されたFORSA調査で、旧東ドイツでは住民の5人に1人が現状に「不満を抱き」、共産主義体制にあこがれを示していることが分かった点を懸念している。
 東ドイツの住民は西側からの援助で「他のどの共産主義後社会よりも利益を得ている。私たちには忍耐が必要だ。40年間引き裂かれ続けたのだから、再統一を達成するには少なくとも同じ時間を必要とするだろう。差し当たり、私たちは頭だけではなく、心で壁を片付け続けなければならない」と言う。
 同枢機卿自身、旧東ドイツ市民で、司祭に叙階したのはエルフルトであり、89年にケルンに移動する前の8年間はベルリン教区の指導者だった。
 旧東ドイツはヨーロッパの最も世俗化された地域と考えられている。カトリック教会の正式会員は15%、プロテスタント教会は22%だが、定期的に教会に出掛ける人の率はさらに低い。
 90年の東西統一で「自分の状況」が改善したと言う人は東独住民の57%に止まり、「差がない」とした人が29%、悪化したと言う人も14%おり、ベルリンの壁再建を支持する人も12%いる。もっとも旧西ドイツ地域でも4人に1人が「壁」の再建を見てみたい、と言っており、マイスナー枢機卿の警告もそれだけ重いものがある。
 枢機卿は、2005年にケルンで開催予定の『カトリック教会世界青年の日』の催しがドイツ社会に「新たな希望の注入」になることを望んでいる、と言う。□

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2004/09/20