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米が宗教の自由に関する年次報告書、サウジを懸念国に初指定

 【CJC=東京】米国務省は9月15日、世界各国の宗教の自由に関する2004年の年次報告書を発表した。
 宗教弾圧を行う「特に懸念すべき国」に、昨年の北朝鮮、中国、ミャンマー、イラン、スーダンに、宗教の自由が著しく侵害されていることが確認できたとして、サウジアラビアとベトナム、エリトリアを新たに加え、指定国は計8カ国となった。イラクについては状況変化を指摘し、指定解除を発表した。さらにラオスとキューバを「宗教的信条、活動を統制しようとする全体主義、独裁主義」の国とした。
 サウジアラビアは、米国にとって、対テロ戦の遂行上も重要な中東の主要同盟国だが、政府が認めたイスラム教の宗派しか宗教活動ができない上、モスクでは、政府に雇われているイスラム教指導者たちがユダヤ教やキリスト教を攻撃している、と非難した。石油利益のために大目に見ているという批判を回避する狙いもあると見られ、指定を根拠とする制裁は発動されない可能性が大きい。
 ベトナムについては、政府が宗教活動を管理する傾向が見られ、一部のキリスト者や仏教徒の活動を厳しく取り締まっている、としている。
 中国には気功集団「法輪功」や新疆ウイグル地区のイスラム教に対する強圧政策を批判している。北朝鮮については、報告書は「キリスト者が投獄、拷問され、生物兵器の実験の対象にもなっている」とする脱出した人権活動家の証言を、裏づけ証拠がないまま明記した。ハンフォード宗教担当大使は会見で「宗教的理由で(世界で)最も多くの人が投獄されている」と批判した。
 国務省は「宗教自由法」に基づき、1999年から宗教の自由の現状をまとめた年次報告書を作成。経済制裁などを科す場合の根拠にしている。□

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