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アラファト議長の死は重大な損失、とキリスト教指導者

 【CJC=東京】パリ郊外のペルシー軍病院で昏睡状態だったパレスチナ自治政府のヤセル・アラファト議長(75)が11月11日早朝に死去した。世界各国の教会指導者は、アラファト議長の死が地域の和平に両面の影響がある、と指摘している。
 聖地のラテン典礼カトリック教会のミシェル・サバ総司教は、議長の死を「パレスチナ人にとって重大な損失だ。彼がパレスチナ人の権利を認めさせることに成功したので、今日すべての国、イスラエルさえ、パレスチナ国家を創設しなければならないと考えている」と語った。
 サバ氏は、アラファト議長がベツレヘムの聖誕教会でクリスマスのミサに出席を希望していたこと、また減少した聖地のキリスト者を助成する政策を取ることでパレスチナ人キリスト者を助けようとしたことを想起した。
 バチカン(ローマ教皇庁)国務省長官アンジェロ・ソダーノ枢機卿は「教皇ヨハネ・パウロ二世は、調和の星がすぐにも聖地を照らし、そこに住む2民族がそれぞれ独立し主権を持つ者として和解の中で生きるように平和の御子に祈られている」と述べた。
 東エルサレムのセント・ジョージ大聖堂(英国国教会)のリア・アブエル=アッサル主教は、「ヤセル・アラファトの死は確かにパレスチナ人にとって、しかしさらに正義と平和を求める全ての人にとって重大な損失」と語った。「私たちキリスト者社会のメンバーにとっても、議長がパレスチナ人キリスト者、キリスト教団体、聖地に関し本当に関心を示してくれたので、同じように大きな損失を感じる」と言う。
 エルサレムのアルメニア総主教座のアリス主教は、アルメニア人共同体もアラファト議長を、パレスチナ人が選んだ指導者として常に尊敬していたと語った。「彼は、常にキリスト者の要求を良く聞き取り、この点で適切な声であったと思う」と言う。
 ルーテル世界連盟議長のマーク・ハンソン監督とイシュマエル・ノコ総幹事は共同声明で「ヤセル・アラファトは、根本的に異なった、またしばしば相容れない手法とで記憶されるべき存在だった。多くの人にとって、彼は自決と独立のためのパレスチナ人の戦いの具現化した存在であり、自由の闘士、英雄的な指導者、父親的な存在だった。他の人にとっては、彼は執念深い敵、平和への障害であった。パレスチナ人キリスト者にとって、自分たちの宗教的権利と自由の強力な擁護者であり、聖地にある自分たちの存在とその重要性について常に関心を持っていた」と語った。
 ハンソン監督らは、アラファト議長の死が何をもたらすか予測出来ないものの、「危機と同様に機会」を提示していると言う。2人は、イスラエルとパレスチナ指導者に、暴力の代わりに対話への積極的な試みの機会を逃さないよう呼び掛けた。また、再度平和を探究することを、イスラエル=パレスチナ抗争の解決に向けて国際的な方策形成に関わっている米国、国連、欧州連合、ロシアなどに要請した。
 世界教会協議会国際問題担当のペーター・ワイデルド氏は「パレスチナ人に連帯して、世界教会協議会は、人権、持続可能な生活、医療、基本的な自由のために、平和が実現するまでは今後も活動を継続する」と語った。□

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