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人道援助は改宗のためではない、とインドネシアの教会が声明

 【CJC=東京】インドネシアのカトリックとプロテスタント教会は、アチェと北部スマトラで、人道援助を改宗促進の口実とされていることに強硬に反対している。
 カトリック系UCAニューズによると、インドネシアのカトリック司教会議とインドネシア教会コミュニオンは1月17日にジャカルタで会合し、共同声明を発表した。声明は、インドネシアの人々に教会の姿勢を明確に示すために出されたもの。インドネシアは世界最大のイスラム教国。
 「キリスト教に人々を改宗する手段として人道主義的な使命を乱用するすべての努力を否定する。そのような努力は、本当のキリスト教精神とその教えには完全にそぐわない」と声明は指摘している。
 会合にはプロテスタントの牧師、カトリック司祭やイスラム教組織『ナフダトール・ウラマ』のハシム・ムザディ議長、『ムハンマディヤ』のアーマド・シャフィー・マアリフ議長ほかキリスト教、イスラム教や超教派組織の代表が出席した。
 「私たちは、国際的なキリスト教社会に、アチェと北部スマトラの津波の犠牲になった子どもを助けたいのなら、『ナフダトール・ウラマ』『ムハンマディヤ』他のイスラム教団体と協力するよう要請する」と声明は述べている。
 米紙『ワシントン・ポスト』は1月13日付けによると、キリスト教救援組織『ワールド・ヘルプ』のヴァーノン・ブルーアー総裁が、約300人の子どもをアチェからジャカルタまで空輸して、キリスト教養護施設に収容したと語った。ただ翌日、同紙は『ワールド・ヘルプ』が子どもたちの養護施設収容計画を中止したと報じている。インドネシア政府の許可が得られそうになく、子どもたちはなおアチェにおり、空輸されていない旨 ブルーアー氏が語ったという。
 共同声明は、「私たちはアチェから津波被災孤児を脱出させようとした試みを政府が防いだことを歓迎し、『ワールドヘルプ』の活動阻止を政府に要求する。また、このような論議でアチェや北部スマトラの重大な人道支援という使命が中断されないよう望む」としている。
 両組織は、「人道主義的な活動に関連する問題に対応する際には常識を用い、根拠のない報道に容易左右されないよう社会に求める。今は、出来るだけ早くこの国全体に及ぶ災難に対処するため協力すべきで時だ」と言う。
 記者会見の席上、キリスト教とイスラム教指導者は、養子問題への懸念を表明した。双方は、それが宗教間の関係を破壊してはならず、また被災者への関心を失わせ、援助の手を引き込めることがあってはならない、と言うことで合意している。
 カトリック司教会議他宗教委員会のアントニウス・ベニー・スセチョ神父は、「声明はインドネシアで活動する外国団体にこの国の宗教多元性を尊重することを求めたものだ」とUCAニューズに語った。
 司教会議は、カトリック教会経営の養護施設に、改宗活動だとの非難を避けるため、『津波孤児』を受け入れないように指示した、と同神父は言う。
 インドネシアのカトリックとプロテスタントの正式組織は「人道主義的な活動の中でキリスト教化(改宗)行うことに決して同意しない。それは真のキリスト教精神と教えに反している」と強調した。
 『教会コミュニオン』のウェイナタ・サイリン総幹事代行は、同組織は『ワールド・ヘルプ』との関係は全くなく、何も聞かされていないので、アチェで何をしたかに関して何も知らなかった、と言う。
 「アチェの被災者を助ける教会は、宗教であると認めさせることを条件としてはならない。私たちの関心は人類のためのものであり、犠牲者を助けるという務めを弱める問題にとらわれてはいけない」と、同氏は語った。「私たちの姿勢は明確である。どんな養子の方式でも、児童保護の法律に従わなければならない。児童自身の宗教の人によって養育されると規定する法律を重んじなければならない」と言う。□

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