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対極化する宗教状況下に米民主党は「信仰問題」を探求

 【ニューヨーク=ENI・CJC】2004年の米大統領選は、キリスト教各派の間に、また教派内に対極化の度合いを強めたことが、米国の宗教状況と大統領選挙に関する調査で明らかになった。
 「ジョージ・ブッシュ大統領とジョン・ケリー上院議員の双方が宗教的支持層の強力な支援を受けた」と、調査を行ったオハイオ州アクロン大学のブリス応用政治学研究所のジョン・グリーン所長は言う。調査結果「アメリカの宗教状況と2004年の大統領選=強まる対極化」が2月3日発表された。
 「宗教の間が対極的になることはこれまでにもあったが、主要な教派の内部で対極化が見られるようになったのは、比較的新しい現象だ」と、グリーン氏は述べている。
 ブリス研究所の調査結果が公表されたのは、ちょうど民主党指導者が、大統領選の敗因を信仰者の票を無視したためではないか、という懸念からその層への訴え方を探ろうとしている時。
 今回の大統領選では、51%が支持したブッシュ大統領は合同メソジスト教会員で「福音的」。一方49%が支持した民主党のジョン・ケリー上院議員はカトリックだが寛容的。
 調査で明らかになったのは、ブッシュ大統領が伝統的キリスト者への依存度が大きいこと、一方ケリー氏は、少数派教会員、教会につながっていない層やモダニスト、自由主義的なキリスト者などの雑多な連合に頼っていること。より均質な共和党支持層は、多彩な民主党支持層より動員しやすかったと見られる。
 下院民主党の指導者ナンシー・ペローシ議員は2月4日、ジェームズ・クライバーン議員(サウスカロライナ州選出)を、民主党の「信仰指針」とも言うべきものを研究するグループの代表に任命した。
 クライバーン議員は声明で、民主党の価値観は「信仰に深く根差しているが、党の倫理的価値観が党の政策を方向づけているかをもっと効果的に伝えるべきだった」と述べている。
 ただ外交政策とか米経済への懸念の方が、妊娠中絶や同性愛者同士の結婚などの社会問題より有権者にとっては重要なのだ、とブリス研究所は観測している。
 調査は、11月の大統領選挙時点で、倫理的価値が有権者の最大関心事だと指摘した世論調査への挑戦ともなった。
 ブッシュ大統領の宗教的支持者にとっては社会問題がより重要であったのに対し、ケリー氏の選挙民には、経済問題がより重要であったこともわかった。
 ブリス研究所の調査は、『宗教と公共生活に関するプーフォーラム』が委託して行ったものとしては4番目のもので、2004年11、12月に、有権者2730人を対象に実施された。□

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2005/02/14