【ロンドン=ENI・CJC】同性愛問題をめぐる対立の中で、信徒7800万人で構成される世界聖公会共同体の指導者は、米国とカナダの聖公会を『一時隔離』することで合意した。全世界38管区から首座主教35人が北アイルランドに集合、2月21日から25日まで非公開協議を行った。主教は、両教会に少なくとも3年間、ACCから「自発的に脱退」よう求めることにしたもの。
共同体の協議機関である『アングリカン評議会』(ACC)がこの6月に英ノッチンガムで開催される。これには米加の聖公会も招かれるが、そこで「それぞれの管区が最近の動きを反省」するよう求められることになる。
聖公会の分裂は、米聖公会とカナダ聖公会ニューウェストミンスター教区で2003年に取られた措置が原因。米聖公会はニューハンプシャー主教に公然同性愛者のジーン・ロビンソン氏を叙階、ニューウェストミンスター教区では同性間の結合を祝福する儀式を採用したもの。これらの行為は1998年のランベス会議で、同性愛関係は聖書にそぐわない、という宣言に反している。
2004年10月にはカンタベリー大主教ローワン・ウィリアムズ氏により設立された委員会が『ウィンザー・レポート』をまとめ、米加聖公会がその行動に「遺憾の意を表明する」よう呼び掛けている。
首座主教たちは、さらに米加の教会に、今後同性間の結合祝福やキリスト教結婚式から外れた性的関係にある人を主教に叙階することを中止するよう求めている。
一方、英国の『同性愛キリスト者運動』は、聖公会共同体のために今回の協議がそのような決定を行う権威があるのか、と主張する。
米聖公会が共同体の活動、特に南半球の管区を支援していることから、今回の措置がどのような波紋を生じるか、にも関心が寄せられている。□