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教皇選出に懸念されるハイテク盗聴

 【CJC=東京】次の教皇を選出する会議(コンクラーベ)は決定までの秘密主義が逆に一般の関心を呼ぶだけでなく、それをいち早く知ることが多大な利益につながることから、スパイ活動が常に起きていたという。さらに電子化が進んだ今日では、ハイテク技術を駆使して秘密に迫ろうとする動きもある、という。
 4月18日にバチカン(ローマ教皇庁)のシスチナ礼拝堂に枢機卿が集まる前から、関係者は自ら秘密を守る誓約をした上で、礼拝堂内外を総点検し、情報遮断に全力を上げている。コンピューター・ハッカーや、電子盗聴器、超高感度マイクなどが「侵入」して来る恐れがあるからだ。
 1978年にヨハネ・パウロ二世が選出された当時と比べると、今のスパイ技術はかなり進歩している。しかしバチカンは、何百年も続いてきた、会議の内容を秘密に保つ伝統を固持できると、自信を持っているようだ。当然のことながら、バチカンの警備部門は、コンクラーベ期間中に実施される盗聴防止手段の詳細について、コメントを拒否した。しかしバチカンがイタリア警察と民間の警備会社も加えて警備強化を図っているのも事実。
 会議の内容を探りたいという誘惑は大きい。改革派と保守派のどちらが教皇に選ばれるか、激しい争いになる可能性もあり、歴史上初めてヨーロッパ以外の国出身の教皇がを選ばれる可能性も強い。
 ただ選出の過程が明かされると、バチカンにとって厄介な問題を招く恐れもある。イスラム教徒とユダヤ人の関係、台湾と断交し中国を承認するのか、避妊についての議論の方向も探れる。
 故教皇は1996年に、コンクラーベの間、枢機卿を「判断の独立性に対する脅威」から守るための規則を制定し、携帯電話、PDA(電子手帳)、ラジオ、新聞、テレビ、レコーダーなどの使用を禁止した。
 携帯電話やPDAは盗聴されたり、勝手にのぞかれたり、進行状況を送信出来るため、禁止は当然、とセキュリティー専門家は言う。
 高感度マイクによる屋根からの盗聴も考えられる。窓ガラスの表面の振動を録音出来れば、遠くから会話を拾える。シスチナ礼拝堂には、屋根の近くに窓がある。
 妨害が難しいのは小型盗聴器。発信装置や録音装置は硬貨ほどの大きさしかない。
 故教皇は、秘密保持の誓いを破ったものは教会から追放すると宣言していた。
 しかしバチカン内部にいる「スパイ」は自らそうだと意識せずに情報を漏らしてしまうかもしれない。そうは言っても枢機卿全員をボディーチェックし、メガネや胸の十字架に盗聴器が仕掛けられていないか調べられるのか、疑問を投げかける専門家もいる。□

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