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教皇ベネディクト十六世就任、「教会は生きている」

 【CJC=東京】第265代の新教皇に選ばれたベネディクト十六世の就任ミサがバチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ広場で4月24日午前10時すぎから行われた。131カ国と10国際機関の代表らが出席、広場周辺を約40万人の信者たちが埋め、新教皇の門出を祝った。78歳を迎えた教皇は、1730年に78歳3カ月で選出されたクレメンス十二世以降、最高齢での就任となる。
 ミサに先立ちベネディクト十六世と枢機卿たちは、サンピエトロ大聖堂地下の墓所にある初代教皇ペテロのものとされる墓に行き、ベネディクト十六世はそこで「使徒が現れたところから出発する」と宣言した。新教皇は枢機卿らとサンピエトロ広場に向かった。
 ミサ冒頭の祈りの後、まず教皇の権威を示すパリウム(白いウールの肩掛け)と印章「漁夫の指輪」の授与が行われた。パリウムは、かつての冠の代わりに教皇の宗教的権威を示すものとなる。ベネディクト十六世のパリウムは約2・4メートルの長さで、キリストが受けた傷を象徴する5つの赤い絹の十字架がししゅうされている。
 「漁夫の指輪」は伝統的に、教皇が公的書簡の押印に使っていたが、今回から指輪と印章は別々のものになった。共に漁夫だったペテロが船から網を打つ姿が刻まれている。
 教皇としての権威の象徴を全て身につけた新教皇は着席。信者代表12人が相次いで教皇の前にひざまずき、忠誠を誓った。信者代表は、枢機卿3人と司教、司祭、助祭が1人ずつ、修道女と修道士が1人ずつ、韓国人夫妻、堅信礼を終えたばかりの若い女性と男性。
 教皇はイタリア語での説教で、「教会は生きている」と信仰の有用性を指摘したほか、全ての信仰や人々との対話を呼びかけ、前教皇が残した言葉を引用して路線継承を強調、信者の団結などを訴えた。
 またカトリック以外のキリスト教信者をはじめ、「偉大な精神的伝統を共有し結ばれている」ユダヤ教徒に「特別の挨拶」を送ったほか、「信じる者も信じない者も全て、全ての人々に、力を増す波のような思いを向けている」と述べた。
 教皇の説教中には約30回にわたり拍手と歓声がわき上がった。
 就任ミサには教皇の母国ドイツ人約10万人など全体で約50万人が集まったと見られる。またミサはテレビで世界各地に中継された。
 就任ミサには教皇の出身地ドイツのケーラー大統領、シュレーダー首相が出席した。英国のエディンバラ公、スペイン国王フアン・カルロス一世ら各国の要人も出席。米国からは大統領の実弟であるブッシュ・フロリダ州知事が参加。日本からは武藤嘉文元外相が政府特使として出席した。
 英国国教会(聖公会)の最高指導者ローワン・ウイリアムズ大主教も出席した。ローマ・カトリック教会の重要行事に英国国教会の大主教が参加するのは初めてという。
 就任ミサの手順の多くは、1962〜65年に開かれた第2バチカン公会議で決まったものだが、実際に行われるのは今回が初めてだという。
 教皇はかつては「即位」したもので、宗教上の権威だけでなく政治的権力も示す「教皇三重冠」と呼ばれる宝石のついた豪華な冠を受ける戴冠(たいかん)式が行われたが、教皇パウロ六世が儀式から戴冠を省いた。78年にヨハネ・パウロ一世と二世が相次ぎ就任した際には、即位ではなかったものの就任の式次第は完全に決まっていなかった。
 就任ミサに備え、イタリア治安当局はローマ市内に警官約1万人を配置。伊軍や北大西洋条約機構(NATO)機が空からのテロ攻撃などに備えた。イタリア民間航空当局は同日、午前8時から午後4時にかけてバチカン周囲8キロ圏内の上空を飛行禁止にした。ローマのチャンピーノ空港では民間航空機の発着を同日午後まで停止した。
 25日以降も就任の行事は続き、教皇がローマ司教でもある立場から、ローマ司教座の4大聖堂を訪れる。□

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