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ダラス神学校の神学者が『ダ・ヴィンチコード』解説

 【CJC=東京】米国で600万部ものベストセラーになり、劇化の計画も出ているダン・ブラウン著『ダ・ヴィンチ・コード』は評論家始め広く論議を巻き起こした。
 キリスト教の歴史的起源と神学の進展に関し多くの主張が展開されている、イエスとマグダラのマリアは結婚していた、などの指摘に信者から怒りの声が上がった。
 初版発行以来2年間、人気が増すのに従って、神学者、研究者、キリスト教指導者の間で、同書に反論する動きも出ている。
 米テキサス州ダラス神学校(DTS)は保守的な立場からの聖書研究で知られているが、マーク・ベイリー校長、ジェフ・ビンガム、ダレル・ボック教授らによる同書解説のDVDを刊行した。(参照:http://bookcenter.dts.edu/)
 『ダ・ヴィンチ・コード』では、イエスはマグダラのマリアと結婚し、子どもがいたという真実の歴史を理解している秘密組織にレオナルド・ダ・ヴィンチが属していたとし、ダ・ヴィンチの著名な作品『最後の晩餐』にも、描き込まれているという。
 ベイリー氏らは、マグダラのマリアが例外的な存在であることは確かだが、新約聖書の11カ所の記述から見る限り、イエスの十字架と復活の真義を示す証人として登場するだけだ、と指摘する。当時は女性が目撃者であることが、重要とは考えられていなかった。あえてマリアを証人とすることで、聖書は出来事が単に偉大な預言者の死ではなく、全人類の罪のあがないとしての神の救済の業であったことを示そうとしたのだ、とイエスの独自性をベイリー氏らは強調する。
 聖書に記されている女性のほとんどの名前は関係のある男性と結びついているのに、「マグダラ」は単に居住していたと思われる場所を示しているだけであることからも、マリア結婚説は否定される、と言う。
 イエスを「偉大な教師」として見る立場で、教会は真実を隠し人々をだまして、「キリスト教」は伝統的な教会の教えを超えるものだ、と訴えて社会の関心をひこうとすることは、新しいものではなく、グノーシス的思想を広く受け入れやすい形で提示した著作だ、とベイリー氏らは解説している。
 ボック教授は『ブレーキング・ザ・ダ・ヴィンチ・コード』という反論も発表している。□

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2005/05/30