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バチカンはなお中国との関係模索

 【CJC=東京】香港カトリック教会のジョセフ・ゼン司教は6月14日、外人記者クラブの昼食会で、バチカン(ローマ教皇庁)の中国政策が教皇ベネディクト十六世の下で変化はなく、北京との関係正常化にあらゆる努力を惜しまない、と語った。
 外交関係設立への最大の課題は司教の任命で、バチカンは国家の介入を認めていない。ただキューバの例をあげて、ゼン司教は、中国政府にある程度の発言を認めるという妥協の道もある、と示唆した。
 中国はまた、バチカンが台湾との関係を断切し、中国の内政問題への「干渉」を控えるよう要求している。関係回復前に宗教の自由を喚起することも「干渉」に含まれる。
 ゼン司教は、北京政府との関係修復には、現在外交関係を維持している台湾を犠牲にすることになる、と認めた。「教皇庁は台湾から北京に外交関係を切り換える準備が出来ている。これまで教皇庁は一方的にどんな友人をも見捨てることは決してなかった。しかし今回ばかりは、つらい決断をしなければなるまい。それでないと中国は聖座(教皇庁)との対話を受け入れないだろう」と言う。
 しかしゼン司教は、北京政府が正式に宗教の自由を保証した場合にだけ、バチカンは正常化を受け入れるべきだ、と警告する。「外交関係を台湾から北京に切り換えた後に交渉を始めるのでは公正でない」と言う。
 北京と教皇庁との関係は、共産党が政権を掌握、1951年にバチカン使節を追放、外交関係を断絶したままだ。
 ゼン司教は、バチカンがこれまで何度か中国との国交回復の道を探り、当局者を訪問させたが、北京政府は関心を示さなかった、と言う。
 中国政府は、キリスト者が礼拝などの活動を行うことは、中国天主教愛国会など公認教会だけに限定している。天主教愛国会は、バチカンや教皇との関係は何もない。カトリック信徒の多くが、違法に『地下教会』に参加している。そこは教皇によって任命された司教だけで指導されている。
 ただ多くの聖職者、信徒、中には司教さえ公認の『愛国教会』に属していながら、『地下教会』のメンバーになっていることは公然の秘密だ。『愛国教会』は信徒400万人と称しているが、国外の専門家は、『地下教会』の信徒を1200万人と推定している。
 ゼン司教は、中国がカトリック信徒がバチカンとの連携を認めるなら両者は統合される、と言う。実際に公認(官方)教会司教の多くは既にバチカンに認知されている。
 1997年に英国が香港を中国に返還して以来、香港をは「一国家・二制度」の原則の下に宗教の自由を保持している。香港のカトリック教会は、公式にバチカンの指導下にあり、政庁からの規制はない。□

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2005/06/27