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世界聖公会、米加教会の完全排除には至らず

 【CJC=東京】同性愛問題をめぐる対立の中で、信徒7800万人で構成される世界聖公会共同体の指導者は、協議機関『全聖公会中央協議会』(ACC=アングリカン評議会)を英ノッチンガムで6月21日から10日間の日程で開催した。
 協議会は22日、ナイジェリア聖公会のピーター・アキノラ大主教らアジア、アフリカに多い「保守派」が、米国とカナダに対し、『アングリカン・コミュニオン』内の全組織から3年間、身を引くよう求めた要請を提出した。これに対し「全組織からの排除ではなく、常置委員会と中央財務運営委員会からの排除にとどめてはどうか」との修正案が提出された。投票の結果30対28で修正案が採択された。
 僅差の投票結果は、世界の聖公会に、「リベラル派」の米加を支持する動きが強まっていることを浮き彫りにした。08年のランベス会議までに『アングリカン・コミュニオン』自体が大きく分裂する可能性も出てきた。
 米国聖公会の代表は21日、報告書「同性間関係のホーリネスに対する認識の高まり」を発表、人間関係を「貞節や誠実さに代表される、相手から神の似姿を確認し得る神聖な愛に特徴づけられる関係」と定義、「同性愛と異性愛は、生物的文化的な違いに過ぎず、十字架と復活の身体を通して、共通の救いにあずかっている」と、同性愛を擁護する姿勢を改めて表明した。今回の発表に向けて、米国は同性愛者に対する聖職就任許可に至るまでの神学的経緯をまとめるため特別委員会を設置した。
 カナダ聖公会代表も、同性カップルの祝福に関する見解を発表した。ただ、対話と理解を求める文言を多く含み、融和姿勢を示した。
 今回の会議は。同性愛者の聖職就任や同性愛に関する独自と立場に立つ米国とカナダの聖公会を『一時隔離』することでこの2月合意したのを受けてのもの。
 聖公会の「分裂」は、米聖公会とカナダ聖公会ニューウェストミンスター教区で2003年に取られた措置が原因。米聖公会はニューハンプシャー主教に公然同性愛者のジーン・ロビンソン氏を叙階、ニューウェストミンスター教区では同性間の結合を祝福する儀式を採用したもの。これらの行為は1998年のランベス会議で出された、同性愛関係は聖書にそぐわない、という宣言に反している。
 2004年10月にはカンタベリー大主教ローワン・ウィリアムズ氏により設立された委員会が『ウィンザー・レポート』をまとめ、米加聖公会がその行動に「遺憾の意を表明する」よう呼び掛けた。
 ロビンソン氏を主教に就任させたことについて今回、米聖公会は「候補者の選出と按手のために祈り、認識を共有できたことを通して、聖霊の導きを感じた」と説明している。□

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