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公立学校の授業で進化論以外も示すべきだ、と米大統領

 【CJC=東京】ジョージ・ブッシュ米大統領が、公立学校の授業で進化論以外の考えも示すべきだと発言、波紋を広げている。進化論に反対するキリスト教右派の主張に同意した、と受け取られたからだ。
 大統領は8月1日、テキサス州内各紙とのインタビューで、聖書を厳格に解釈するキリスト教右派が熱心に説いている「インテリジェント・デザイン(ID)」に関する見解を聞かれた際に明らかにした。
 人間の複雑な構造は進化論だけでは説明できず、「高度な理知」の手が入ることにより初めて完成するというのがIDの骨格。一部の学者は支持しているが、「創造説」を補完する形で提唱されることが多いので「科学の衣をまとった信仰ではないか」と批判されている。
 大統領は、テキサス州知事時代を振り返って、「私は、両方が適切に教えられるべきだと感じていた」と、語った。
 『ヒューストン・クロニクル』紙によると、大統領は、学校のカリキュラムは連邦政府が決めることではないと述べた。大統領は1999年の大統領選の際にも、「世界の始まりに関して、生徒たちは異なった考えに触れるべきだ」と述べていたが、自身がどの説を支持するのかは明らかにしていなかった。
 キリスト教右派は「インテリジェント・デザイン説に大統領のお墨付きをもらった」と歓迎の姿勢だ。
 南部バプテスト会議倫理と宗教の自由委員会のリチャード・ランド委員長は、「それは私たちが推進して来たものだ」として、大統領の姿勢に満足していると『ニューヨーク・タイムズ』紙に語った。同氏は、進化論が「事実としてあまりにも教えられ過ぎる」として、「進化論としてダーウィン説を教えるなら、それを理論として教えるべきであり、科学者の中に多くの支持がある別の理論を教えるべきなのだ」と言う。
 一方、全米政教分離連合などの公民権団体が「大統領としてあまりにも無責任な発言」と強く非難の声を上げている。
 『国立科学教育センター』のスーザン・シュペート氏は、「双方」を教えるべきだというブッシュ大統領の指摘は問題、だと指摘する。「一見、正しいようだが、特殊創造説は特定の宗教的観点であり、知的創造説も特定の宗教的観点なのだ。それを進化に関する別の議論と呼ぶことは、ある宗教的観点に特権を与えることになり公正でない」と言う。□

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