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『テゼ共同体』の創設者ブラザー・ロジェ刺殺される

 【CJC=東京】平和と和解を目指す超教派団体『テゼ共同体』の創設者ブラザー・ロジェ(90)は8月16日、仏南東部クリュニー近郊の『共同体』で夕の祈りの最中、情緒障害があると見られる36歳のルーマニア人女性に襲われ、ナイフでのどを切られた。15分後に死亡が確認された。夕の祈りには2500人が参加していた。事件後、徹夜で祈りが続けられた。
 ブラザー・ロジェはプロテスタントの神学者。すべてのキリスト者が平和、愛、和解を求めて集まる必要を強調して『テゼ共同体』を1940年に創設、各派間の和解に努力した。毎年、祈りと思索のために世界中から何万人もの青年キリスト者が集まるまでになった。
 ジャン=ルイ・コスト検事は、女性がナイフを購入したのは前日のことで、犯行が計画的であり、自発的なものだった、と報道陣に語ったが、女性の姓名は明らかにしなかった。女性は取り調べのため警察が拘留した。精神科医療が必要な状態ではないという。
 教皇ベネディクト十六世は、16日にブラザー・ロジェから「感動的で親密な手紙」を受けたばかり。「とても悲しく、そして恐ろしい知らせだ」と教皇は指摘した。
 英国国教会(聖公会)の霊的最高指導者カンタベリー大主教のローワン・ウイリアムズ氏は「たとえようもない衝撃」として「ブラザー・ロジェは、現代最も愛されたキリスト教指導者の1人であり、多くの人が彼の死を非常に身近に感じ、祈りと感謝で彼を偲んでいる」と語った。
 世界教会協議会(WCC)のジュヌビエーブ・ジャック総幹事代行は「信仰者の間の真のエキュメニカル(教会一致)な対話を絶えず求めたことは、制度的な障壁を越え、彼は若ものの間に特別な共感を呼び起こした」と言う。
 欧州教会会議のジャン=アルノルド・ドクレルモン議長(仏プロテスタント連盟議長)は「この不幸な狂気に驚いている。ブラザー・ロジェの安らかな死を願う。テゼ共同体が生み出した礼拝式に敬意を表すべきだ。『テゼ讃美歌集』は世界中に知られ、歌われている」と指摘した。
 ルーテル世界連盟のイシュマエル・ノコ総幹事は「この恐るべき出来事は、現代世界に暴力が確実に増えていることからも、より広い意味合いを持っている。暴力は私たちの間に、私たちの中にある。私たちは熱心に祈らなければならない。テゼはこの祈りの結実だ」と語った。 ジャック・シラク仏大統領やドイツのゲアハルト・シュレーダー首相も哀悼のメッセージを発表している。□

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