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ハリケーン『カトリーナ』の惨事に救援も長期化必至

 【CJC=東京】大型ハリケーン『カトリーナ』による被害を受けた米南部は9月に入って、ルイジアナ州ニューオーリンズ市を中心にようやく治安維持から救援活動に焦点が移り始めた。それでも4日にも市内で銃撃戦があったと伝えられ、救援自体が進まないことにいらだちも高まっている。冠水した同市の被災者40万人以上の相当数は近隣の十数州が受け入れを表明しているが、避難生活の長期化は必至と見られる。
 レビット厚生長官は4日のテレビ番組で、犠牲者は「数千人に上ると思う」と述べ、米政府閣僚として死者数に初めて言及した。
 日本政府も50万ドル(約5500万円)の緊急支援を表明するなど、国際社会の救援も始まっている。国連緊急援助調整官室(OCHA)は、犠牲者に対し援助を実施するために米国政府とコンタクトをとったと表明した。エゲランド緊急援助調整官は、ジョン・ボルトン米国務次官に対し、国連が援助を提供する旨の書簡を送った。
 米国の教会も、空前の大惨事に、「まず祈ろう」との呼び掛けから、緊急支援、そして長期的な救援体制へと進みつつある。
 教皇ベネディクト十六世は、被災者に「堅い連帯」の意思を示すため、教皇庁開発援助促進評議会(コルウヌム)議長のポール・ヨセフ・コルデス大司教を派遣すると共に、全ての信仰者に対し、死傷者の縁者が神の慰めを感じられるよう祈ることを求めた。
 米司教会議は、全米規模で救援募金を始めている。カトリック関係の救援物資は『カリタス』などを通じて被災地に届けられつつあり、全米のカトリック系学校も被災学生の受け入れ準備を進めている。
 救援団体『教会世界奉仕』(CWS)のジョン・L・マッカロー会長は9月3日、ルイジアナ州で教会指導者たちと協議「家を失った人たちは新たな生活を始めなければならず、信仰者の社会(教界)は被災者のパートナーにならなければならない」として、長期復興計画を練っている。被災者への援助をより良いものにするためには宗教宗派の枠を超えた協力が必要だ、と言う。
 CWSは米国のプロテスタント、正教会、聖公会などが合同で1946年に設立された。世界80カ国で活動を展開、国内でも災害支援に当たって来たが、自国でこれほどの規模の惨事に対応するのは初めて。
 CWSは、すでに『健康維持用品』(ヘルス・キット)5000、毛布5000枚をニューオーリンズ地域に、テキサス州に避難した人たちのために、健康維持用品』135、毛布100枚を送るなどの活動を被災地で展開している。また長期支援のための現地組織をルイジアナ、ミシシッピー、アラバマ、テネッシー、ケンタッキーの各地で結成すると共に、今後は現金が必要になるとして追加募金を計画している。
 CWSは、ボランテアを今回は組織せず、希望者は赤十字社に申し込むよう呼び掛けているが、長老教会やアドベンチストなどボランテアを募集するところもある。
 著名な大衆伝道者ビリー・グラハム氏は「今回のハリケーン被害は南北戦争以来の惨事だ。恐るべきものだ。暴力、略奪、銃撃、性的暴行があり、同情もある。多くの米国人が、そして各国の多くの人が援助しようとしている。惨状は理解を超えたものだが、挑戦でもある。現代の技術をもってすれば、惨状を祝福に変えることも出来る」と述べた。□

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2005-09-05T21:35:13+09:00