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独福音教会がカトリックとの『合同聖書』計画から撤退

 【CJC=東京】『ドイツ福音教会』(EKD)が1979年に刊行された『合同聖書』の改定作業に参加しないことを決めた。ケルンで開かれたカトリック教会の『青年の日』を機会に、教皇ベネディクト十六世がプロテスタント教会と積極的な対話を行ったばかりなのに、早くも逆行の動きが浮上した。
 これで改定は、カトリック教会だけの責任で行われることになり、EKDの決定は、教会間の関係を損なう可能性があると見られる。マインツ大司教のカール・レーマン枢機卿は、エキュメニズム(教会一致)に「かなりの妨げ」だと指摘している。
 EKDは、2001年7月の教皇庁文書『リトゥルギアム・アウセンティカム』の、現地語の使用指針を問題にしているようだ。同文書は、聖句の翻訳に際し、カトリック教会以外の共同体や外宗教の言語学的用法から引き出される語彙やスタイルの導入を明確に排除している。
といういことはEKDにとって、聖書訳出に当たりカトリック教会のヴルガータ訳と教父的伝統が強調される一方、ドイツ宗教改革の基盤を危うくしかねないからだ。
 EKD筋は一方で、合意の破棄によって、カトリック側が最終的な決定を行い、特定の聖句に関するカトリック側のアプローチが、宗教改革で打ち出された『聖書のみ』(ソーラ・スクリプトゥラ)に基づかないことを懸念している、と言われる。これまで教会論など重要な神学課題について双方が合意したことが多数あるにも関わらず、カトリックとプロテスタントの聖書の旧来の違いが再浮上することになろう。□

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2005-09-27T02:24:26+09:00