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空襲で全壊したドレスデンの聖母教会が60年ぶり再建

 【CJC=東京】「エルベのフィレンツェ」と呼ばれたドイツ東部の古都ドレスデンで、第2次世界大戦末期の1945年2月、英空軍を中心とする連合軍の大空襲で破壊された『フラウエン(聖母)教会』(プロテスタント)が再建が当初の予定より1年早く完了し、10月30日、完成式典が行われた。インゴルフ・ロスベルク市長は「ドレスデンの奇跡」と称し、すべての関係者に感謝の意を表明した。
 2時間にわたる礼拝とその後の記念式典には、連邦大統領ホルスト・ケーラー連邦大統領、ゲアハルト・シュレーダー首相、アンゲラ・メルケル次期首相始め、寄付に貢献した英ケント公など世界各国から約1700人が参列した。市民ら6万人以上が教会前の広場に集まり、臨時に設営された大スクリーンに映し出された礼拝を見守った。
 式典でケーラー大統領は「教会再建は戦争を決して繰り返してはならないというシグナル」と祝意を述べた。ザクセン州教会のヨッヘン・ボール監督は、教会再建を、「過去の敵対関係を乗り越えた和解」の精神が産み出した最大の作品、と評価した。
 高さ91メートルの教会のドームに、空襲に参加した英軍兵士の息子らが作った黄金の十字架が取り付けられ、英国のエリザベス女王もケーラー大統領に「(教会再建は)両国の和解の象徴」と祝福する書簡を送った。
 同教会は1743年完成。バロック教会の最高傑作とされていた。戦後、旧東独政府は災禍を示すシンボルとして破壊されたまま放置していたが、ベルリンの壁崩壊後の89年末に再建を願う市民運動が発足。東西ドイツ統一後の94年から15万個のがれきも使う復元作業が始まった。総経費1億7900万ユーロ(約250億円)の内1億ユーロ(約140億円)は世界中からの寄付でまかなわれた。
 空襲では市民を中心に約3万5000人が死亡。戦略的重要性もなかったドレスデンに、ドイツの敗北が決定的な時期の空襲だったため、欧州では「ドイツの広島」とも呼ばれた。□

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2005-10-31T23:30:24+09:00