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国際赤十字が宗教的に中立な第3のシンボルマーク

 【CJC=東京】戦争捕虜の扱いや戦時の救護活動について定めたジュネーブ条約の締約国会議は12月5日から行われたが8日、国際赤十字運動の公式シンボルマークとして、これまでの「赤十字」と「赤新月(赤い三日月)」に加え、新たに宗教的に中立な救急活動の第3のマークとして「レッド・クリスタル(赤いひし形)」を賛成多数で承認した。
 会議は、シリアがイスラエル占領下にあるゴラン高原での『シリア赤新月社』の活動を認めるよう要求して紛糾、「人道活動である赤十字運動はコンセンサス方式が基本」との声を受けて、当初6日までだった会期を延長したが調整がつかず、赤十字運動では異例の投票に持ち込まれ、8日未明に結局、賛成98カ国、反対27カ国、棄権10カ国で承認された。承認はジュネーブ条約の第3追加議定書の採択という形で行われた。
 これにより、ユダヤ教の立場から「赤十字」と赤新月のどちらも使用を拒み、加盟の障害となっていたイスラエルの救急活動組織「マゲン・ダビド・アドム(ダビデの赤い盾)」に、国際赤十字活動全面参加への道が開かれた。
 「赤十字」はスイスの国旗に由来するとされていたが、元来はイエス・キリストの十字架を憶えてのものであることは確か。イスラム圏各国では『赤新月社』という赤十字類似団体を結成、『国際赤十字』にシンボルマークとして「赤新月」を認めさせて正式メンバーとなった経緯がある。しかし「赤新月」もイスラムの象徴のため、宗教を背景とした紛争では、救急活動の従事者がかえって攻撃対象になることもあった。
 「マゲン・ダビド・アドム(ダビデの赤い盾)」は、ユダヤ教の立場から、赤十字と赤新月のどちらも使用を拒み、加盟の障害となっていたことから宗教色のない「赤いひし形」を第三のシンボルマークとする提案が出ていた。
 新しいマークは、赤いひし形に囲まれた中央の白地の部分に、各国が独自のマークを加えられるようになっており、イスラエルは、ユダヤ教に由来するダビデの星を加える意向。
 救急活動マークとしては日本を含め多くの国が「赤十字」を採用している。□

KIRISUTO.INFOホーム教界ニュースホーム Last Update : 2005-12-13T02:16:06+09:00